long/温かな光

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壁外から帰ってくると、ナマエが廊下で出迎えてくれた。


「エルヴィン団長!おかえりなさい!」

「おや、どうしたんだナマエ、こんなところで。リヴァイも帰ってきてるぞ」

「えっと…」


そんなナマエの右頬に、大きな擦り傷があった。


「どうしたんだ、その傷は」

「えと…外階段から足を踏み外して、顔から落ちてしまって…」


ははは、とナマエは笑うが、なぜだか違和感を感じた。


「見せてみろ」

「え」


スッとナマエに近付き、その左頬にそっと手を当て右頬を凝視する。


「擦り傷だけか」

「は、はい」

「階段から落ちたんだな」

「…はい」


ナマエがそう答えた。私はまっすぐにナマエを見た。
ナマエが嘘をついているのはわかっている。相変わらず嘘が下手だ。


「抱き締めても、いいかな」

「へ?」

「少しだけだ。気にするな」


いやいやいやいや。
気にするなって言われましても…
そう言ってナマエは真っ赤になった。
私はその小さな体に腕を回して、ぎゅっと抱き締める。


「だ、団長…?」

「静かに」


と、そこへバットタイミング。


「おいエルヴィ……」

「!!!」


ドアが開くと同時に、人類最強の男が私達の姿を見て、一瞬固まった。
ナマエは慌てて私から離れて弁解する。


「ち、違うのリヴァイ!あのね」

「何が違うんだナマエ。エルヴィン、どういうつもりだ。ナマエは俺のだ、勝手に手出しするな」

「おっと、すまないね」


ナマエはリヴァイに手を引かれて、団長室をあとにした。


(ん?リヴァイは何の用事だったんだろう)




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「階段から落ちたの。大丈夫だから」


ナマエはそう言った。

ふと、なんとなく、俺はナマエを抱き締めようと思いその体に腕を回した。


「え、なに、リヴァイ」

「黙れ」

「………?」


エルヴィンがなぜナマエを抱き締めていたかすぐにわかった。
ナマエの体つきが以前とは違うのだ。それを確認していたのだろう。


「階段から落ちたと言ったな」

「うん…」

「………」

「リヴァイ?」

「体は痛くないのか」

「え」

「筋肉だ」

「…なんの話?」

「筋肉がついてるぞ」


途端にナマエの顔色が変わったのがわかった。
嘘が苦手なナマエの事だ。すぐに真相をはくだろう。


「俺達がいない間、何をしていた」

「別に、何も…強いて言うなら、暇だったから、筋トレ、的な」

「ほぅ」


ナマエを抱き締めたまま全身を触った。


「ナマエ」

「や、なにリヴァイっ」

「この筋肉がどうしたら発達するか、俺は知っている」

「………」

「立体起動装置を使ったな。それも、かなり訓練したはずだ」


観念したように、ナマエが恐る恐る俺を見上げた。
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