long/温かな光
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ナマエがハンジと俺の話をしていた。
ナマエが、なぜ俺がナマエにこだわるのかを疑問視していた。馬鹿かあいつは。
あいつは…俺に見合う人なんていくらでもいる、等と言っていたか。
聞きなれた、右足を引きずった足音が響いてきた。
ノックの音に返事をすれば、にこやかにナマエが入ってきた。
「お疲れ様ーリヴァイの方が早かったんだね」
「3日後から壁外だからな。無理はしない」
「そっか。今回はハンジも一緒なんだってね。ハンジが言ってた」
「あぁ」
「リヴァイは晩ご飯食べたの?」
「あぁ」
「わたし、部屋で食べようと思って持ってきちゃった。先にシャワー浴びるね」
ナマエは昨日の事などひとつも意に介さない様子で、机の上にパンとサラダの乗った皿を置いた。
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もぐもぐとパンとサラダを交互に食べながら、ナマエは書類に目を通している。
「ナマエ」
「ん?」
「欲しいものはあるか」
「…ん?」
今更どうしてナマエの機嫌を取ろうとしてるんだろうか。
「壁外の帰りに、俺とエルヴィンはここに戻らず王都へ行ってくる。予定通りならな。なにか買ってきてやる」
「リヴァイ」
「なんだ」
「なにも要らないよ…?」
その表情は、どこか物悲しいものだった。
「みんなが無事に帰って来てくれたら、それでいいんだよ」
「ナマエ、お前はなにも心配いらない。俺は必ず帰ってくる」
「みんなも…」
「当たり前だ」
ナマエはしばらく俯いて、
「うん」
と小さく言った。
二人して早めにベッドに入ったけれど、今日のナマエを抱く気にはなれなかったし、ナマエもそれを望んではいないだろう。
それでも、
「リヴァイ、」
そう俺の名を呼びながら、ナマエは抱き付いてきた。