long/温かな光

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久し振りに研究室でじっとしているわたしを、ハンジが心配そうな顔で覗きこんだ。


「今日は行かなくていいの?訓練兵のところ」

「ハンジも知ってるでしょ。兵長様が激怒してるの」


皮肉混じりに言った。


「ナマエはどうしてそんなに今期の訓練兵にこだわるの?去年も一昨年も、そんなにこだわってなかったよね」

「…どうしてかな。わかんない」


進まないペンを一旦机に置いて、ほぅ、とため息をついた。


「リヴァイも、どうしてわたしにこだわるんだろう」

「え」

「リヴァイに見合う人なんていくらでもいるのに。わたしみたいな役立たずなんかじゃなくて」

「どうしたの、ナマエ」

「…はは、どうしたのかな」


どうしてかわからない事だらけだ。きっとハンジに聞いてもわからないだろうから答えない。


「さて、今日は直帰だー」


と背伸びする研究室の外に、リヴァイが立っているのも気付かなかった。


「ねぇナマエ」

「なぁに?今日のハンジはよく喋るのね」

「退団しちゃえば…?」

「は?」


耳を疑う言葉だった。


「退団して、リヴァイのお嫁さんにでもなったら?ナマエが調査兵団で無理する必要はないよ」

「ハンジ、わたしは…」

「だって元々、エルヴィン団長の為だったんでしょ?」


――そうだった。
確かに始まりは、そうだった。

だけど今は違う。

こうやって様々な研究を進めて、みんなの周りで雑務をこなしていれば、みんなの為に…
巨人に食われる命と、そんな兵士の帰りを待つ人類の為に…
なんて。


「ごめん。唐突だったね」


ハンジはわたしの頭をくしゃりと撫でた。


「私は3日後から壁外に行くから…後を頼んだよ、ナマエ」

「うん。わかった」
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