long/温かな光

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ナマエが不思議そうに俺を見ている。
なんで気付いてねぇんだこいつは。男所帯の中で、自分が目立つ存在だって。

ただ単に女だからって理由だけじゃない。
例え俺の女だと周りが知っていようと、ナマエがいれば自然と空気が変わる。そうだ、これは自然の摂理だ。
既に自分が兵士達の憧れになっている事に、早く気付くべきだ。痛い目を見る前に。


「ナマエ、お前は誰のもんだ」

「…わたしは、わたしのものだよ」

「違う、俺のもんだ」

「リヴァイ、どいて、変だよ今日」


そうだな、変だ。
訓練兵にばかりかまけて、結局は残業で毎晩遅くに帰ってきて、やっと二人ゆっくりできる時間があると思ったら、その訓練兵の話で目を輝かせてる。

…俺は嫉妬してるのか?
そうか、それでもいい。このイライラする気持ちをなんとか出来ないか。


「もう訓練兵に関わるな」

「どうしてそんな事言うの?」

「お前は自分で気付かねぇのか。へらへらしてるお前を、男共がいつも狙ってんだよ」

「何言ってるの…リヴァイ、冗談はやめて、どいて。話を聞いて」

「もう訓練兵に関わらないと言えるか」

「ねぇリヴァイ…!」

「お前は俺のだろ!」

「そんな事、当たり前でしょ!」

「だったらもう訓練兵に関わるな!」


ナマエが泣いている。泣き出してしまった。泣かせたのは俺か。


「わかったから…」


思い通りに進んでいるはずなのに、どうしてだ。ナマエの泣き顔に罪悪感が沸く。


「ナマエ、お前を泣かせるつもりは…」

「大丈夫。ごめんねリヴァイ」


俺がナマエから退くと、ナマエは座り直し、俺の首に手を回して抱き付いてきた。


「怒らないで…もう、しないから」


まるで子どものようだ。だけどなぜナマエが謝る?なぜこいつがつらそうな顔をしている?


「だから、笑って。頭を撫でて」


俺の胸の中で、ナマエがそう言う。
そうだ、やっぱりナマエは俺のものだ。もうナマエには俺しかいないのだ。
だからこうやって俺にすがりつき泣くのだ。


「わかった。信じてやろう」


俺はナマエの滑らかな髪を撫でた。そのままナマエが泣き疲れて眠るまで。

ナマエをベッドに運びその体を降ろせば、さっきは見えなかった涙の後に気付く。

ナマエには俺しかいないのだ。
だから俺が、守ってやらないと。
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