long/温かな光
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こっそりと訓練兵の様子を伺う日々が続いた。
「あぁ、お近付きになりたいなぁ」
エレン・イェーガー、ミカサ・アッカーマン、それにジャン・キルシュタイン、等々…今期の訓練兵は素晴らしい逸材揃いだ。
立体起動装置の使い方も素晴らしい。ガスの噴かし方もワイヤーを打つ位置の狙い方も、訓練での肉の削ぎ方も。
おまけに瞬発力も判断力も精神力も…正直昨年の訓練兵より一昨年の訓練兵よりその前の訓練兵より素晴らしい!
改良の余地がある研究対象を、わたしは一心不乱にメモした。
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「あ、また来てる」
「あ?」
格闘術の訓練中、コニーがジャンに小声で話し掛けた。
訓練している素振りを見せながら、一部の訓練兵は点数にならない訓練の手を抜いている。
「なんだよ」
「ほら、あそこでなんか調べてるあの子…可愛いな」
コニーが差すままにその方向に目を向ければ、そこには自分達と変わらぬほどの年齢の少女がいた。
「なんだお前、あーいうのがタイプなのか?」
「ジャンはどーなんだよ」
「どうって、なんだよ…俺は…」
「いやー可愛いなー…だけどあの服…あの子、調査兵団かぁ」
翼のエンブレムを見て、コニーは呟いた。
「…俺は憲兵団に入るから、関係ねぇな」
ジャンが呟く。
噛み合わない二人に、ライナーやベルトルト、アニ等他の訓練兵もまたナマエを様々な想いで気に掛けていた事を、この時のナマエはまだ知らない。