long/温かな光

□8
2ページ/2ページ

リヴァイが「ベッドはひとつでいい」と言った時の、ハンジのにやにやした顔を思い出す。
…今日はどんな顔して研究室に行ったらいいのだ。

まだ辺りは暗い。

もぞもぞとベッドの中で動くと、ぎゅ、とリヴァイに抱き締められた。


「どーした」

「あ、起こしちゃった?ごめ…」


リヴァイの方を向けば、唇を重ねられた。
…見事に恋人同士のようだ。


「どこにも行くなよ」

「どっちかと言うとわたしの台詞だよリヴァイ。明後日から、壁外調査でしょ?」

「なんか情報を得られりゃいいがな」

「そーじゃなくて…」

彼の胸に顔を埋める。
温かい。


「…いなくならないでよ」

「ナマエ」

「ちゃんと帰ってきて」


エルヴィン団長の傍にいる時だって思ってたけど、その頃よりもずっとずっと怖い。

どうしてわざわざ壁の外に行くの。
ここにいれば安心じゃないの。


「ねぇリヴァイ」

「あんまり言うな。でも、帰る場所と見せたい世界があるなら、壁の外で闘うのも悪くねぇ」


そうやってわたしを抱き締めてくれる腕が心地良い。
それに身を委ねる。


「ねぇ」

「なんだ」

「頭、撫でて」


しばらくの沈黙のあと、リヴァイはそっと頭を撫でてくれた。


「だけどこれ、エルヴィンの野郎に仕込まれたやつだろ」

「…リヴァイに撫でられると、嬉しい」


わたしはいつから、この人をこんなに想うようになったんだろう。
きっとこの人が、わたしを心から想ってくれているからだ。

窓から朝陽が差し込んできた。



あぁ、

なんて温かな光。





1部 END.
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ