long/温かな光

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ハンジが言う言葉なんて、巨人の分析結果以外はいつも信用できない。


「リヴァイはよっぽどナマエが好きだよね〜いいねぇそういうの!」

「なに言ってるの。早く報告書ちょうだい。まとめなきゃいけないんだから」

「で、ナマエはどこで寝てるの?やっぱりリヴァイの部屋?」


ハンジはニヤニヤとわたしに書類を渡した。
ペラペラと確認しながら、


「自分の部屋で寝てるに決まってるでしょ」


嘘をついて、自分の作成した報告書と共にまとめ上げる。


「ふぅーん」

「なに、ハンジ…」

「ナマエは嘘が下手なんだから、嘘をつかない方がいいよ」


頭をくしゃりと撫でられた。
確かにリヴァイも、わたしは嘘をつくのが下手だと言ったけれど…


「ね、ねぇハンジ。誰にも言わないでよ、その…っ」

「リヴァイの女だって事?」


言葉にされると恥ずかしくなる。
自分では、リヴァイの女などになったつもりはないのだけど。


「リヴァイがナマエを自分のものにしてるから、もう逃れられないよ、ナマエ」

「わたしの意思はどーなるのよ」

「リヴァイはナマエを離さないよ」


複雑な気持ちだった。
誰かに必要とされて守られる事は嬉しい。
けれど、


「そもそもね、ハンジ。リヴァイがわたしの事を好きかどうかなんて」

「え、ナマエわかってないの!?」

「え?」

「誰がどう見たってリヴァイはナマエに夢中だよ!」

「それはハンジの主観でしょ」


ハンジはお腹を抱えて思いきり笑い出した。


「え、ハンジ、なに、」

「だってナマエ、鈍感すぎて…!」


そこへ、ノックも無しに突然扉が開いた。


「おい、やけに楽しそうにしてるな」


まさに今話していた主人公だった。


「ハンジ、報告書はまとまったのか」

「あぁ、今さっき出来たとこ、ナマエがまとめたよ。あのねリヴァイ、ナマエったら」

「ちょ、何言うつもりなのハンジ!」


慌ててハンジの言葉を制すると、リヴァイは不愉快そうな顔をする。


「とりあえず書類を渡せ。エルヴィンのとこへ持ってく」


「はい」と報告書を手渡すと、リヴァイは一通り目を通して、


「ナマエ、俺の部屋に戻ってろ」


と言った。


背後ににやけているハンジの視線を感じながら、小さく返事をして、わたしは研究室を後にした。
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