long/温かな光
□5
2ページ/3ページ
朝が来て、わたしはシーツ1枚のみにくるまれたままの裸体に、昨夜を思い出した。
隣でリヴァイが眠っている。
すぅすぅと寝息を立てて。
そっとベッドを抜け出そうとすると、
「ナマエ……」
少し掠れた寝起きの声で、リヴァイはわたしの名前を呼んだ。
そして、
「行くな」
そう言った。
「リヴァイ、わたしは…」
「別に…俺を好きになれって訳じゃねぇ」
「違う、教えてリヴァイ、あの、昨日リヴァイが言った事…」
「とりあえず服を着ろ」
ふい、と顔を背けてくれたのは、優しさなのだろうか。
(世間知らずな、馬鹿な女だ)とリヴァイが昂る想いを沈めているのも知らずに、ナマエは今更慌てて服を探し、着る。
「ねぇリヴァイ、あの…」
「腹が減った。食堂に行くぞ」
「…もー!」
--------------------
食堂には珍しくエルヴィンがいた。
俺とナマエを見て、目を細めて笑う。
「おはようリヴァイ、ナマエ」
「あ、団長!おはようございます!」
パンとスープ、それにサラダを乗せたトレイを持ち、ナマエは当たり前のようにエルヴィンの隣に座る。
いや、今までそれが当たり前すぎていたのだろう。
俺はそれを見ながら、小さく舌打ちをして別の席へ着いた。
「団長、書類整理に追われてるんじゃないですか?」
「わたしがいなくなって」と微笑むナマエ。
「そうだな、今までナマエに頼りすぎてたところもあったからね。まぁ、他の部下にも教えていかないと」
「他の……?」
カタン、とスプーンを落とすナマエに、辺りは一瞬静まり返った。
しまった、とエルヴィンは後悔する。
「ナマエ、書類整理の話だぞ」
コホン、と咳払いをして、エルヴィンはナマエのスプーンを拾った。
俺は新しいスプーンを持って隣を通った。
「あ…ありがとうリヴァイ、あの、こっちで一緒に食べよう」
「もう飯は済んだ。部屋に戻るところだ」
エルヴィンに目を合わせる事なく、俺は食堂をあとにした。