long/温かな光

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わたしの仕事場が変わった。
仕事内容も変わった。


「ようこそ、ようこそ!ナマエなら大歓迎だよ!」


巨人を愛して止まないハンジ分隊長の研究室が、わたしの新しい仕事場になった。


「ハンジ、それは俺の所有物だ。ナマエがなんかやらかしたら俺に言え」

「え、リヴァイそれってどういう事?所有物って?」

「とにかく…ナマエ、俺は部屋にいるから、なんかあったら来い」

「…わかった」


リヴァイの方など見ずに答えた。
好き勝手な事ばっかり言って、わたしの話なんてちっとも聞いてくれない。

そもそも彼が現れてから、わたしの環境は変わってしまった。
…団長から、引き離されてしまった。


「ねぇハンジ」

「なんだい」

「ハンジから見るリヴァイって、どんな人なの」

「んー…」


ハンジは腕を組んでしばらく考えてから、


「潔癖性で、ナマエに会ってからはナマエに夢中って感じ」


と、笑えない冗談を言った。「笑うところじゃないよ」と付け加えて。

わたしは新しい机に資料や書類を片付けながら、大きなため息をつく他なかった。


室内の空気も、窓から見える景色も、隣にいる人も違う。
頭を撫でてくれる人も……


「あぁそうだ、ナマエ」

「ん?」

「ナマエが寂しそうにしてたら頭を撫でてやれってリヴァイに言われたんだけど…」

「ちょっ…!」


持っていた書類がバラバラと床に散らばった。
あとで順番を揃えながら、また片付けなければならない。


「いや、えっと、それって…えと、リヴァイに言われたの?」

「あ、うん。そうだけど」


リヴァイは何をどこまで知っているんだろう。
エルヴィン団長がなにか伝えたのだろうか…それはそれで寂しすぎる。


「わたしは、別に頭を撫でられるのが好きなわけじゃ…!」

「え、違うの」

「いや、撫でられればいいってわけじゃ…!」

「撫でられたい人がいるの?」

「……もう、いいっ」


照れてしまった顔を見られないようにハンジに背を向けて、わたしはバラバラに落としてしまった書類を拾い始めた。

拾い終わって、


「ちょっと、出てくる」


寂しさに耐えられなくなって、わたしは団長室へと足を進めてしまった。
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