short/温かな光
□リアルな夢
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「『一生俺の味噌汁を作ってくれ』『お前の面倒は死ぬまで俺が見てやる』『永遠に俺の3歩あとをついてこい』」
「…ハンジ、なにそれ」
「いやぁさ〜」
とニカニカ笑って、ハンジはペンを置いた。
「ねぇナマエ、リヴァイなら何て言うと思う?」
「…あえて聞くけど、なんの話かな」
「わかってるくせに言わせたいってとこが、乙女チックだよねー」
「眼鏡、割っていい?」
なぜか人の色恋に首を突っ込みたがるハンジだが、どうやらそれはわたしとリヴァイに限っての事らしい。
「あの過保護な団長様は、出来る事なら憲兵団から結婚相手を見つけてくれたら良かったのにって思っただろうね〜」
「…ちょっとハンジ、うるさいから。大体憲兵団なんて、王の元で仕事をしたいとか言いながらだらだらしてる税金泥棒じゃない」
「んー…確かにそれは一理あるけど、まぁだからこそ、ナマエはリヴァイを選んだんだね」
「だって楽しみだからさ〜ナマエだってリヴァイがプロポーズしてくれたら嬉しいくせに」
「…ねぇハンジ、この報告書はさ、」
「相思相愛って君達みたいな事を言うんだよね」
今日のハンジはどうしたんだろうか、朝からずっとこの調子だ。
「じゃあ聞くけど、ハンジはすっごい素敵な巨人がいたら、何てプロポーズするの」
「ちょっとナマエ、なんか勘違いして………ん、あの女型の巨人との生活なら、確かに楽しそうかも」
「それって生け捕りにしたりしない夫婦生活よね」
「どうしようかな」
アハハ、と笑うハンジは再びペンをとって書類に目を向けた。
「あのさ、ナマエ…リヴァイが昨日、『ナマエはお前に俺の事なんて言ってんだ』、って」
…驚いた。
リヴァイが他人に、わたしの話をするなんて。
「だからそろそろなのかと思っちゃって!」
きゃっきゃとはしゃぐハンジは乙女そのものだ。
「あ、あのねぇハンジ…!」
呆れながらハンジを見ると、ハンジはわたしを見てニヤリと笑った。
もしかするとわたしは、すごくすごく赤い顔をしているのかもしれない。
「こんなご時世だからきっと結婚式は密やかにやるんだろうけど…そのあと子どもを授かったらナマエは退団して、家族が増えて…」
そうして、ハンジが膨らます妄想は、ついにわたしの脳内を犯し始めてしまった。