short/温かな光

□跳ぶ理由
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「行ってくる」と壁外調査に行く俺を、なぜかナマエはいつも笑顔で見送る。

最初の頃こそ「行かないで」だの「死なないで」など泣きじゃくっていたが、今ではいつも笑顔だ。

その理由をを本人に訪ねたところで、だからなんだって話だ。女々しい。


笑顔に変わったナマエが不思議で、たまらなく愛しいと思ってしまうあたり、もう俺はこいつから離れられないんだろう。


「ナマエ」

「どしたの?」

「…いや」

「行ってらっしゃい」

「ああ」


と扉を開けた。

柄にもなく振り向けば、ナマエはにっこりと手を振っていた。


胸が熱くなる。

なんだろう。この気持ちは。



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最近わたしは、「行ってらっしゃい」 と「おかえり」を、必ず笑顔でするんだって決めた。

だって引き留めたところで、彼は行く。人類の未来のために。

だからわがままは言わない。

本当は言いたい。
「行かないで」「死なないで」「帰ってきて」
だからその涙を全部必死でこらえて、わたしは笑顔で彼を見送り、迎えると決めた。


「ナマエ」

「どしたの?」

「…いや」


不意にリヴァイが名前を呼んでくれたので、ドキリとした。
だけどそれから彼は、「じゃあ」と扉を開けて出ていく。

珍しくふと振り返ってくれて、ずっとひらひらと振っていた手に、「無事で帰ってきて」と強く願いを込めた。
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