鋼の錬金術師〜迅雷の錬金術師〜

□迅雷の錬金術師
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『…ねぇ、レオ…』

『…うん?なぁにぃ?』

『僕は…キミ? キミは…僕?』

『そう…もう……後戻りはできないよぉ?』

『キミは…僕のことをどうするの?』

『…私はお前を守るんだ、安心しなよ
…でも、他のやつらを安易に信用すんなよぉ』

『…どうして?』

『…何度も何度も、痛い目にあっただろ?
私があの苦しみから救ってやる

…だから…私だけを信じなよぉ?』

『…わかった……』

『…よし、いい子だねぇ

これからはずっと一緒だよ、レイ』








─────────────




リ「…迅雷の錬金術師、レイ…ね、
…ファミリーネームは?」

『すみません、記憶障害で…戸籍もなくって
覚えていないんです
…ごめんなさい…』

リ「…戸籍がない?」

『はい…いろいろとありまして

説明すると長くなりますけど…』

リ「…それは悪いことを聞いてしまったわ
ごめんなさいね
…さ、中で大佐が待ってるわ」


東方司令部内…
リザさんとやらに案内され、
僕はマスタング大佐に会いに行った



…実は僕、レイは今日
国家資格である、国家錬金術師となり二つ名として、迅雷の錬金術師となった

国家資格を取ったのは生きるため
お金が必要だったから

至って単純な理由

親はいない

いや、いないんじゃなくて

実際は殺されて逝ってしまったのだ

だから一人立ちというのも兼ねて
お金は必要だった

そして今、なぜ東方司令部にいるのかというと

ここの大佐である、
ロイ・マスタングという人物が
僕の資格取得の際、
実技試験で僕のことを見て気に入ったらしく
お呼ばれしたと、そういう次第である


コンコンコン

リ「私です、
迅雷の錬金術師がお見えになられました」

ロ「…入ってくれ」

ギィ…

ドアを開けて中へ入ると
同じ歳くらいの金髪の男の子と鎧が座っていた

二人と目があい、軽く礼をする
リザさんはそのまま部屋から出ていった

おそらくその奥の黒髪の男の人が大佐だろう

ロ「いやぁ、よく来てくれたね
そこに座ってくれないか?
鋼のが少し邪魔くさいがな」

エ「へいへい、俺はどーせお邪魔ですよーっだ」

ア「兄さん…;」

『…どうも、レイです
…それで、用件はなんですか?』

さっさとこんなとこから出ていきたい

そう思って少し急かしてしまう

金髪少年は何か飲み物を飲んでいる

ロ「あぁ、用件を言おう
…私のもとで働かないか?」


『え…』

エ「ぶふぅ‼」

ア「あぁ!兄さん汚いよ!」

金髪の少年は飲んでいたものを吹き出した

なぜこの少年が吹き出したのかは
よくわからないけど
見ていておもしろい

『ふふ…キミ、おもしろいね
どうして吹き出すの?』

首を傾げて尋ねると、吹き出したものを
鎧の人が拭き取っていた

エ「だってよ、
こんな女の子が大佐の部下になると思うと…
なんか…なぁ?」

ア「…まぁ…僕としては不安だけど…」

ロ「なっ…!」

エ「そうだよなぁ…大佐のことだから
セクハラとかしそうだしなぁ」

ロ「失礼だぞ!」

『へぇ…真面目で誠実そうなのに…
人は見かけによらないんですねぇ』

くすくす笑いながらそういう

ロ「ち、違う、誤解だ;」


カツカツカツ

近づいていって後ろにたって
耳元に顔を近づけた

スゥッ…

『悪い大人なんですね…』

ロ「っ…」

自分の髪をかきあげて
そう呟くと、大佐は顔を赤くした


″簡単なやつだな″

″こらっ、レオ″

″…はぁいはい″


『…っていうのは冗談で!
勧誘はありがたいんですけど
僕、そういう誰かの下につくのって
あまり好きじゃないんですよね
だからごめんなさいっ』

深くお辞儀をして謝り
また僕は少年の前へと座る

ロ「…しかし、国家錬金術師となれば
国の狗と呼ばれるようなものだぞ?
時には駆り出されて人を…」

『あぁ、それはいいんです
その時はその時でべつにね
…でも、あなたの部下になるのは
なんかめんどくさそう

なるべく縛られたくないんでね』

にこにこ言うと目の前の少年は
少し険しい顔をしていた


『うん? どうかしたの?』

エ「いや…お前にとって
戦争とかに駆り出されることは
そんなに軽い気持ちで行けるものなのかなと…」

なんだか真面目な顔をして言われた

『うーん…そうだねぇ…

…うん、まぁ軽い気持ちで行けるよ、僕は!』

のほほんとした雰囲気でそう言うと
少年は拳を握りしめた

エ「…そうかよ…」

ぼそっと呟き、一旦会話が途切れた


変な空気が流れる





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