鋼の錬金術師〜氷凜の錬金術師〜

□強欲と合成獣
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バシッ

イ「ほー 早くて正確になったな」

ア「へへ」

イ「あ、あなたの錬成も見てみたいから
ぜひやってもらえないかしら?」

『あ、はい』

エ「でも次 オレ!」

今はみんなで表へ出て
アルはまず小さくシンプルな木馬を錬成した

パン‼

イ「‼」

バシィ

エ「じゃーん」

ア「うわぁ」

次はエドが木馬を作ったが…

『センスねぇー…』

エ「んだとコラ!」

ア「兄さんの錬成は
もっとこうディティールがだねぇ!」

エ「なんだよっ!
アルもオレのセンスに文句あんのか!」

そう言い合いをしている間
イズミさんは険しい顔をしていた

『んじゃ次は俺な』

パンッ

バキバキッ

『んー…イマイチかな』

エ「おまえ…手合わせ錬成できたのか⁉」

ア「すごいや!」

『…んー…まぁ…うん』

できる気がしてやってみたら
本当にできてしまった

ちなみに今のがはじめての手合わせ錬成

イ「おまえ逹二人
錬成陣無しでできるの?」

エ「え?はい一応…」

ア「?」

イズミさんは顎に手を当てて眉間に皺を寄せた

イ「エド、レイ」

エ「はい?」

『なんですか?』

イ「おまえ逹ひょっとして

あれを見たのか?」

エ「……な…何を…」

『…?』

あれとはなんだ?

イ「見たんだろう?」

エ「…見ました」

エドは拳を握りしめた

イ「さすがはその年で国家資格を取る程の天才
……って事か」

エ「天才なんかじゃありません
オレはあれを見たから…」

ア「?」

『?』

俺とアルは話についていけていない


エ「先生は………!」



「イズミせんせー!」

エドが何かを言いかけた時
子供が三人あらわれた


「せんせー」

イ「どうしたの?」

「ボクの汽車が壊れちゃった 直してよ!」

イ「おいで 家の中に道具があるから」


そう言ってイズミさんと子供逹は家へと入り

しばらくするとおもちゃを直して戻ってきた


「壊したらまた来るねー!」

イ「だから壊すなっつの‼」

そして子供三人が帰った

「イズミせんせい…」

と、同時に今度は女の子の声が別の方向からした

イ「メニィどうしたの
あんたも何か壊したの?」

そういうイズミさんに対して
首を横に振るメニィという少女
腕にはぐったりとした猫を抱いている

「チコが動かないの 直してよ…」

イ「───もう死んでる」

猫の体に触れ 静かにそう告げた

「こわれちゃったの?」

イ「ううん、ちがうよ 死んでしまったの」

「せんせいチコを直してよ」

イ「それはできないよ」

「だってイズミせんせいは
なんでも作れるんでしょ?
チコだって…」

イ「メニィ
命は物とちがうし 私は神サマじゃない」

イズミさんは少女の手をとり
少女自身の胸に手をやった

イ「チコもメニィも同じ「命」
チコは命が止まってしまってもう戻らない」

「………わかんないよ
だって…きのうまで………」

イ「チコの命は作ってあげられないけど
お墓は作ってあげられる ね?」

泣きじゃくる少女と
悲しく笑うイズミさん
エドとアルはその二人を見て何を思ったか…



*:・゜。*:・゜*



イ「生きていれば
いつか命は尽きて肉体は土に還り
その上に草花を咲かせる

魂は「想い」という糧になり
周りの人々の心に生き続ける

世のあらゆる物は
流れ 循環している
人の命もまたしかり

…自分ではこんなにもわかりきっているのにな
未だに子供に死を納得させるのはむずかしい」

エ「…師匠は命を……
死んだ人を生き返らせたいと
思った事はありますか?」

イ「あるよ」

真剣な眼差しで聞くエドに
背を向けたままそう言った

イ「エド
おまえは軍の狗でいて
良かったと思った事はあるか?」

エ「………いつ

いつ人間兵器として招集されて
人の命を奪う事になるかわからなくて…
こわいです」

イ「それでもその特権を利用して
成し遂げたい事があると?」

エ「成し遂げなければならない事があります」

まっすぐとイズミさんの背中を見つめ
そう言った
…が、しかし

バキィッ

返ってきたのは蹴り


イ「師匠の教えを破っといて粋がるんじゃないよ
このガキ!

アル その鎧の中…空っぽだな
エドも機械鎧だろう」

ア「どっ…」

イ「どうしてわかったって?
さっきおまえを投げ飛ばした時!
左右でちがう足音!

気づかないと思ったか
私をなめるなバカ者

何があった 全て話せ」


呆れたような
悲しみと若干の怒りを混ぜたような顔で
イズミさんはそう言い

我々はイズミさんの家へと戻った








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