H×H〜短編 裏なし〜
□涙
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『…ビジネスだから…ごめんね?』
「ちっ、く…しょー!!!」
グサッ
『ばいばい。』
自分の目の前で崩れ落ちていく男を見ながら呟き、部屋を出ようとした
でも目の前には何故かクラピカがいた
『クラピカ…?何でこんなところに?』
「すまないレイ、ホテルを出てからずっとつけていたんだ」
『…そっか、』
「ああ。」
寂しげに見つめてくるクラピカを直視できなくて…すぐにここから出ていきたいと思った。
『私ね、こういう酷い女なの。命の重さなんかこれっぽっちもわからない。』
「…。」
『クラピカ…私はあなたと長い間付き合ってきたからわかってるよ。私はクラピカの一番嫌いなタイプ…そうでしょ?』
「……」
何もしゃべらないクラピカが今、どんな顔をしているのかが気になったが見ることができない。
『私は人を殺して生きてきた。もちろんこれからも、ね。結局さ、世の中金さえあればいいんだよ。金が手に入るなら何だってする。それが私。どう?幻滅した?』
問いかけるが反応なし。
私は手を思いっきり握りしめていて、皮膚に爪が食い込んでいた。
痛くはなかった。
だけど胸の奥で、心がずきずきと痛んでいたのを私は知っていた。
それを隠すかのように、私は笑ってみせた。
その時ようやくクラピカの顔を見て私は少し驚いた。
その時のクラピカの顔は、今までに見たことのないくらいにきれいな顔だったから。
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