短編小説

□地味な僕の非日常
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 「城崎、城崎は居るか。」

 先生の口から城崎拓真という名前が出てきたとき、森下悠斗は微かに肩を震わせた。
しかし教室の一番後ろの席に静かに座っている彼の反応に気付いた者は誰も居ない。

 「またあいつはサボりか・・・」

 先生はため息を吐きながら、諦めたように呟いた。
教室にいる生徒たちも少し視線を交わしながら、いつもの事のように黙っていた。


 城崎拓真はほとんど授業を受けない。いわゆる非行少年で先生たちでさえその現状を黙認している。
時々クラスに顔を出すことがあるが、誰とも関わらずまたすぐどこかへ消えてしまう。
彼が普段どこにいるのか、ほとんどの生徒が知らない。


 周りからは怖がられている城崎だったが、整った顔立ちとスラリとした体形で女子にモテる。
綺麗に染まった金髪、切れ長の鋭い瞳が美しく、他学校からのファンも居るほどだ。
それに加えて頭脳明晰、県下トップクラスの学力を維持しているため、先生も多くの口出しを
することができない。


 そんな城崎は特殊な存在であり、いつも周りからの注目を集めていた。
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