Amour
□拍手文
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◆愛してると言わせて
『私、骨女さんみたいな素敵なひとになりたい』
ふと会話の切れ目に言った君に、俺は苦笑いを浮かべながら言う。
「骨女みたいな?…やめた方がいいと思うな」
『どうして?』
こちらに顔を向け、俺の目を真っ直ぐに見つめて君は尋ねた。
「どうして、って…」
君の漆黒の瞳に、俺の中を全部見られてしまいそうな気がして、ふい、と目線を外す。
『こっち見て、一目連』
愛しい君にそう言われて、ちら、と目線を戻して君を見るも、真っ直ぐに瞳を見ることなんてできなくて。
『……目、見て…』
膝立ちになって、焦れたように俺の頬に手を添え、上からそっとキスを落とす。
『…私、骨女さんみたいに綺麗じゃないし、胸も小さいし…』
「…そんなこと、」
『一目連は、骨女さんみたいな大人のひとが好き…なのかな、と思って…』
泣きそうなのを我慢しているような、そんな弱々しい笑顔で言われて。
俺は君をそっと抱き寄せて、首筋に君の鼻を付けるように、髪に指を絡ませて、その綺麗な曲線を描く頭を引き寄せた。
『いち、もく、れん…』
俺の肩を、その綺麗な指で掴んで言った君を、俺は元のように座らせて。
今度こそ、その漆黒の瞳を見つめて。
嗚呼、早く
愛してると言わせて
6/15〜6/21掲載