14年間連れ添った親友と

□事故編
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「旅行行きたいんだけど…」
 六月某日。Tが俺のベッドの上でそんなことをつぶやいた。そんなTに俺は、疑問。だって、俺らはその何日か前に、Мと三人で旅行にいったばっかりなのだ。
「この前行ったばっかじゃん。てか無理。金ないし」
「この前はМが一緒だったじゃん!おかげで何も出来なかったし!金は俺が出すから行こう」
 何も出来なかったって…今回は何する気なんだよ…おい…。ちなみに、シンに貯金ほとんど貸したはずのTが何でこんなに金に余裕があるかっていうと、何か授業のいっかんで書いた論文?が、何とかって賞を取って賞金が出たらしい。本当に金に恵まれてるやつって何しても恵まれてんのかな、ってバイトに必死こいてる自分がちょい馬鹿みたいに思えてくる。
「なぁんで無駄遣いばっかすっかな…その浪費癖直さないと絶対破産するし」
「まぁ、そこら辺は誠がうまくやってよ。仕事始めたら、給料お前に預けるしー。いい奥さんになってね♪てか、もう予約したから!」
 何でそんな自分勝手なん…てかいつしたんだよ…てかテスト前なんすけど…色んなつっこみは持ってたけど、あえて飲み込んだ。多分、仕事始めたら給料預けるって言葉に浮かれてたんだと思う。仕事初めて社会人になっても、コイツの隣には当たり前の様に俺の居場所があるんだなって思えてすごい嬉しかったから…。まぁ、顔には出さないけど。
 結局、断りきれずに俺はTと旅行に行く羽目になった。

「うっわ!すっげ!!キレー」
 旅館の部屋に入った瞬間、思わずはしゃいでしまった。その前に、Мと三人で行った旅館も広くてきれいだったけど、明らかに今回の部屋の方が値段的には高そうだなって事はわかった。旅行ってこともあって浮かれてたけど、本当にTの浪費癖直さないとな〜とちょっと思う。
 窓からは川?みたいなのが見えて、景色もすごい良かった。でも、窓から下を見下ろした俺は思わず、あ!って叫んでしまった。そんな俺を見て、Tも窓に近づいてきた。
 俺が声をあげた理由ってのが、窓の下を見ると露天風呂らしきものが丸見えになってて、もちろん女風呂も普通に見えた。タオルで隠してる人もいたけど、隠してない人もいて、その光景にちょっと驚いてしまった。女の人はみんな、恥かしがってる感じもなくて、逆にこっちが恥かしくなってきた。
 そんな俺にTが不機嫌そうな声を出す。
「何?誠、女の身体に興味持ち始めたん?」
「は?何言ってんの?」
「だって顔めっちゃ赤いんだけど」
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