Voice

□リアル
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…なんだ。この状況は。
説明しよう。…というか壁ドン。

待って待って。わたしアニメとかドラマCDでしかこういうの知らない知らない知らない。そりゃ、やられたことは(アニメ、ドラマCDで)あるよ。予想以上に近い!息していいの?これ。ある意味サラリーマンさんより苦しい!

ど、どうなってるのこれ。目線をどこにやればいいのやら、とチラリと上を見上げるとばっちり達央さんと目が合ってしまった。



「あ、えっと…その…、
ド、ドラマCDみたいですね!」


なにか言わなければ、と赤くなる顔を必死で抑えようと努力しながら人差し指を立てた。達央さんはきょとん、としたあと、あぁ、と薄く笑った。

…なに、こわい。

冷たいものが背中を流れると同時に、ふわりと達央さんの香りらしきものが鼻を掠めた。


「…照れてんの?」


これ達央さんの匂いかな、なんて変態みたいなことを思っていると耳元で掠れた声が聴こえた。


「…っ!たつひ…!」
「静かに。周りにバレるだろ」


なにが?!なにを?!突然の達央さんの行動に頭が真っ白になっていた。だ、だって…達央さんの息がかかってるし!髪だってくすぐったいし!お仕事に使ってる声だし!


「…なぁ」
「っ!はい!」
「…いい?」
「な、なにをでございましょうか!」


背中に何かが駆け上がるのをグッと堪えながら返せば、耳元でプッと吹き出す声。


「…おま、なんだよ…その声」


くっくっ、と笑いを噛みしめるような声。私はボッと顔が熱くあるのを感じた。


「た、達央さん!」


ぐいっと肩を押せば、おかしそうに笑う達央さんの顔。…な、なんてことしてくれるんだ!この人は!


「麻衣、お前…ププ、顔真っ赤」


ぶはっと吹き出す達央さんにもっと真っ赤になってしまった。好きな人にあんなことされて真っ赤にならない人はいないと思うんですけど。


そのあとにまた耳元で「可愛い」と囁かれ、もっと真っ赤になったのはあと1分後のこと。



二次元のことを三次元で行うと、破壊力が半端ないということを学びました。




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