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□長い夜の終わり
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カタカタと窓が揺れる音で目が覚めた。カーテン越しに漏れてくる光は無くまだ真夜中だということを知らせている。

風が強いのか、と頭の隅で思いながら布団を手繰り寄せて寝返りをうった。そのときにひんやりとしたシーツが足の先に当たり、もぞりと上半身を起き上がらせた。

隣に並んで置いてある枕は高く、暫くの間使用されていないことが目にわかった。引き戸の隙間からやわらかく漏れる光に少し安堵し、冷えた空気に身を震わせながらベッドから這い出た。





「あれ、起こしちゃった?」


どれだけそっと引き戸を開けても出てしまう音にソファに座っていた麻衣は驚いたように振り返った。


「いや風が強くて。麻衣は?眠れないの?」


てっきり部屋を暖かくして起きているのかと思えば毛布一枚に包まっているのみ。それでも人がいるせいか寝室よりは少し温かい室内だった。

お昼寝しすぎたのかな、と笑いながら毛布を広げて俺を招きいれた。麻衣の体温で暖かくなった毛布は心地が良い。


「寒い?温かいもの淹れる?」
「麻衣のほうがあったかい」


隣に並んで毛布に包まり、小さな肩へと身を傾けた。クスクスと笑うたびに振動が伝わる。


「何してたの?」
「んー台本見たり雑誌見たり」
「お仕事熱心ですね」
「眺めてただけだよ。読んでない」


なにそれと笑えば、文字見てたら眠くなるとか言わない?と言う。学校の授業とかそんなもんか、と思って頷く。普段それほど本を読まない俺にはその程度の記憶だ。


「起こしたらよかったのに」
「佳正さんぐっすり寝てたもん。何しても起きなかったよ」
「例えば?」


頭を肩に預けたまま瞼の下ろして、返答を待った。秘密、と笑いながら麻衣が言ったのは少し経ってからだった。


「じゃあ俺も今度しよ」
「鼻摘まむのはなしね。息できない」
「ごめん、やったことある」


横腹を軽く小突かれてどちらともなくクスクスと笑う。その小突いてきた手を掴んでするりと指を絡めた。少し冷たい指先を包み込むように握る。


「なんか眠たくなってきたかも」
「寝ていいよ、明日早いだろ?」
「それ佳正さんでしょ」


ふわと欠伸と共に紡がれる。自分の明日の予定を再確認して、壁にかけてある時計に目をやった。…今から寝ても起きれそうにないな。


「俺出るときに起こすから」
「…うん」


本格的に眠くなったのか区潜った声が聞こえた。預けていた頭を起こして、麻衣の身体を抱き寄せた。されるがままにこてんと寄り添ってくる麻衣におやすみ、と呟いた。光によって白くなり始めた部屋に小さな寝息が消えていった。





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