Voice

□柔い灰色
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近くに来たから家行ってもいい?と聞いて恋人の麻衣から承諾の返事が返ってきたのは15分ほど前のこと。女の子なのにセキュリティの然程厳しくのないマンションに住んでいる麻衣の家に到着するのはすぐだった。4階建てのマンションの3階に階段を使って上がる。健康のためとかじゃなくて階段しかないのだ。『坂下』と可愛らしい書体のプレートがドアの中央にぶら下がっている。そのドアの隣のボタンを押せば数分かからずにガチャリと扉が開く。


「はーい、佳正さん?」
「麻衣…、確認してって何度も言って……」


確認しろ、と何度も言っているのに聞かない麻衣にため息を尽きながらそう言い、視線をやると言葉に詰まってしまった。


「…?どうしたの?」


こてん、と首を傾げる麻衣は片足に引っ掛けていたサンダルでぴょんと1歩前に出た。


「いやいや!出ないで!入って!お邪魔します!」
「えー、何なのー」


その麻衣を家に押し込んでから自分も慌ただしく靴を脱いだ。防犯のために鍵もチェーンもかけた。

問題はここからだ。
麻衣の今着ている服は、灰色の身体にフィットする長いワンピースのようなものだった。肩が出ているタイプなのか、その上に羽織っていた薄緑色のパーカーから肌が見え隠れしていた。まあ、これだけ言うと何ともないじゃん、みたいな感じだろう。だけど俺は、女性のこのような服はすごく身体が柔らかそうに見えて、とてもドキドキしてしまう。


「んもー!何よ!」


押されたことにぷりぷりと怒る麻衣はくるりと振り返ってリビングへと入って行った。歩く度にお尻が左右に揺れて、身体にフィットしている服が張ったり緩んだりする。ドキドキするもそこに釘付けになってしまう。裾から見える足は白くて、視線が離せない。



「佳正さん!」


麻衣の身体を凝視していた俺は少し大きな声で俺を呼ぶ恋人にビクリと視線をあげた。リビングの戸からひょっこりと顔を出している麻衣にごめんごめん、と笑いながら後を追った。


「もう、どうしたの?」
「え、あ…ちょっと、ね…」


ソファに俺を座らせてテーブルにお茶を置いた麻衣は顔を覗き込むようにそう聞いてきた。腰から上を横に倒した麻衣の身体のラインにまた釘付けなったが、ふいと目線を逸らした。


「佳正さん、変」
「え!いや!変じゃない、よ…」


ずい、と顔を近付けてくる麻衣は怪訝そうな顔をしている。そして俺の両頬を挟んで言って、と眉を少し上げた。


「…え、と……身体のラインとか…」
「身体のライン…?」
「…そういう服着てるのって、身体がさ、柔らかそうに見える…とか、」
「…へ、」


俺の言葉にぽかんとする麻衣の顔はだんだんと赤くなっていく。そろりと頬を離れる麻衣の手をガシリと掴んでそれを阻止した。


「すごい柔らかそうなんだよなぁ」
「へ、へぇ…」
「ラインもくっきりだし」
「ちょっ、触んないで!」


俺から離れようとしていた麻衣の腰に手を回してするりと撫で上げた。ビクリとした麻衣は顔を真っ赤にさせている。もうここまで来てしまっては俺も止まれない。

掴んでいる手を引っ張ると同時に身体を翻し、ソファへと麻衣を押し付けた。突然のことに目を丸くする恋人に口角が上がった。


「よ、佳正さん…!」
「んー?」
「えっ、あの…えっと、」


ご飯食べよう!と喚く麻衣に耳を傾けずに、少し捲れ上がった裾から伸びる足に手を這わせて太ももまでずり上げた。この光景は下半身に響く。


「ごめん。もう止まれないわ」


真っ赤な顔で俺を見上げる麻衣の首筋に顔を埋めると共に、裾から手を入れて、女性特有の柔らかさを全身に感じた。





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