Voice

□共犯
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すっきりと晴れた平日のある午後。窓際の席の私は日向ぼっこには少し強すぎる陽射しを遮るように机に伏せていた。かれこれ午後1番の授業のチャイムが鳴ってから30分という時間が過ぎていた。

…達央さんに会いたいな

ぼんやりと想って、首だけを回転し外を見てもその想い人はいる訳もなく、陽射しが私を照らした。その陽射しに目を細めてまた机に伏せれば、達央さんの顔が思い浮かんで一人にやけてしまった。

私はある方とお付き合いさせてもらっている。それが声優というお仕事に就く達央さんだ。電車で痴漢に遭っているところを助けてくれたのがきっかけ。あっちは最初高校生だとは思わなかったらしいけど、まあ…なんというか、お付き合いさせてもらっている。そして今日は久しぶりに会える日!だから早く学校終わってほしいのにぃ。

さっきから教卓には体育科の若い男の先生。…達央さんの方が何万倍もカッコいい。しかも保健体育の授業なんて、達央さんのほうが適役だよ。あーあ、と足を投げ出せば前の人の椅子にコツンと当たった。そんなに仲良くもないその子は用事があると思ったのか振り返って来たが、当たっただけと返せばすぐに前を向いて先生が話す性に関する話を真剣に聞いていた。

避妊しろ、とか相手のことを考えろ、とかでしょ。達央さん考えてくれてるからいいもんね。
早く終われー、と念じながらノートに達央と書いていると、突然耳に飛び込んできたのは先生のある言葉。


「最近じゃ、いい大人が高校生と、みたいな話が多いから気をつけろよ。犯罪だからな、犯罪」


先生のその言葉にピタリと手の動きを止めてしまった。そろり、と顔をあげれば話題はもう移り変わっていた。性に関することには変わりないんだけど。いや、そんなことより、達央さん何歳だっけ?30?ん?…私は17?年の差は…、13?…犯罪?




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