ながい。&ながいぱろでぃ。
□Hot Blood Tea.A
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ビーー…
インターホンを押し、待つこと約10秒。
レイがもう一度インターホンを押そうとした瞬間、木造の古びたドアが開いた。
「………」
無言でドアを開けたのは、自分よりも背が低く、少し無愛想な青年。
…そんな睨まなくても…。
「あの、住み込み専門医の広告を見てきたのですが…」
「………」
「……あのー…」
けっ、警戒されてるのか?
僕の顔に何か付いているのか?
少し気になって、自分の顔を触ってみる。
すると、目の前の青年は少し口元だけで笑って見せた。
目はからかいを含んだ目をしている。
なんだよ、いったい…。
「…アンタ、名前は?」
「え?…あ、レイと申します。」
「イントネーション、少し違うね。何処の出身なの?」
「中国です。韓国語はまだまだ勉強中ですね。」
「ふーん…、ま、中入んなよ」
「…失礼します。」
青年に中に即され、ゆっくり中に入っていった。
中は見かけどうり、中世のヨーロッパ。
韓国に来てからこんな造りをした建物を久々に見た。
先祖らしき人物の絵画、美しい宝石が埋め込まれた豪華な陶器、白と黒のチェス盤柄の大理石床、巨大なシャンデリア。
…来るとこ間違ったか?
「すごいなー…とか思ってるでしょ?」
「えっ?」
後ろからいきなり声をかけられたので、オレは間抜けな声が出てしまった。
「こんなの、ただ掃除が大変なだけだよ。」
「そ、そうですか。」
「…アンタいくつ?」
「21です。」
「…あ、じゃあ人間的な数え方だと僕より上なんだ。」
「人間的な数え方?」
「気にしないで、今この家の主人を連れ来るから、ここで待ってて?」
「はい…」
「っと…その必要が無くなったみたい…」
そう言うと、青年はオレより背後を見上げる。
オレもそれにつられ、ゆっくりと振り返った。
そこには、自分と同じくらいの身長。大人びた印象の青年が立っていた。
「スホニヒョン、広告見て来たお客さんです。」
背後から青年が言った。
スホって名前…なのか。
「D,O…失礼な態度はとらないって約束したよな?」
「僕はちゃんと対応しましたよ〜」
「あっあの!!」
「「??」」
オレは必至だった。
胸の鼓動が五月蝿いくらいに高鳴っている。
自分の本能が“今がチャンスだ”と言っているのが聞こえた。
「オレの、僕の名前はレイです。ここで働かせてください!!」
自分でも驚くぐらいの声の大きさだった。