みじかい。

□以心伝心。
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『兄さん、生きてますか?』


オレが兵役に行ってから、恋人は決まって夜の24時に電話をかけてくるようになった。


「死んでた方が良かったか?」


そしてオレは決まってこう返す。
こんなやり取りが毎日続いている。


『いっそのこと2人で死にますか?』

「お前が望むのなら…オレは構わないけど?…」

『………』


パボ、自爆してんじゃん。
お前が唯一オレに口では勝てないことぐらい知ってんだぞ。
…かわいいやつ。


『兄さん…』

「ん?なんだ?」

『結婚しませんか?』

「…うん、いいよ。」

『…兄さん、真剣に』

「真剣に、言ってるよ?」


ギュヒョナの声と一緒に、メンバーの笑い声が聞こえる。
今日は何の仕事が入ってたっけ?
ふとそんなことを考えると、向こうからギュヒョナを呼ぶ声が聞こえる。


「…撮影、まだ続きそうか?」

『はい、でも朝がくる前には終わりますかね』

「そっか…ちゃんと寝ろよ。」

『兄さんには言われたくないな。』

「うっせーよ」

『ふふ、それじゃ、兄さん…おやすみなさい。』

「…おやすみ。」


プー…プー…プー…プー…


なんだ、今日は言ってくれないのか…
パボギュ。

いつもなら電話越しにリップ音まで付けて言ってくる言葉を、今日は言わずに切っていった。

少しだけ、心がチクッとする。

その痛みを捨てるかのようにベットに携帯をポイッと手放すと、携帯の画面が光り、メールを受信したことを知らせた。

そして、メールを送ってきた名前を見て少し心が躍る。


━兄さん、愛してます。


「…オレも。」


画面にそっと呟いて、顔が赤くなるのが自分でも分かる。
めったに本人の前では言わないからだ。


「ホントに結婚できたら、どっかの田舎で2人でカフェでもやらないか?…」


次会う時、ちゃんと本人に言えるように、

横で寝転がりながらこちらを見ていたメロを相手に秘密で練習した。

メロが問いかけにワンッと返事したのに苦笑しつつ、愛しい恋人の照れた顔を想像しながらベットに横になり、
静かに目を閉じた。

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