『賢者の石』

□第1話 届いた手紙
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「っと………着地成功」

ブラック家の装飾を施した暖炉と違いただレンガを組み立てただけの質素な暖炉である。
ここはリトル・ウィンジング プリベッド通りにあるスクイヴのフィッグおばさんの今は使われていない――魔法使いのみ使用するが――家の隅にある暖炉なのである。

「えっと……リビングはこっちに……ってうわ猫危な!?」

猫を踏みそうになりながらゆっくりと人の気配のする方へと進んでいく。

「フィッグばあさん、こんにちわ。……ってハリーじゃないか」

「レグルス!いつも突然現れるけど何処から来てるの」

「それは秘密だ」

リビングにひょこりと顔を出すとくしゃくしゃ髪のメガネをかけたハリーポッターがいた。
1年ほど前に知り合って(というかいじめられているのを助けてから)仲良くなった。
『例のあの人』に打ち勝ったかの有名なハリーポッターだと聞いた時には驚いたけど、今は友人として仲良くしている。

「いらっしゃいませ、レグルス様」

「お邪魔してますフィッグばあさん」

フィッグばあさんはアルバス・ダンブルドアを通じて知り合った。
この間来た時には猫と芽キャベツの匂いがひどかったがだいぶマシになっている。

挨拶もそこそこに済ませ、ハリーと二人で近くの公園へと足を運んだ。

「ハリー今日はどうしてこっちに?」

「ダーズリーが学校の制服買いに行ったのさ」

あの体に合うサイズがあるのかなと肩をすくめてみせるハリーにそれはそうだなと大爆笑で応じるレグルス。
するとハリーも一緒に笑ったがふと口をつぐみ不安そうに視線を彷徨わせた。
そんなハリーに問いかけると、ゆっくり話し始めた。

「実はついこの間動物園の蛇のいるコーナーにたまたま行ったんだよ、ダーズリーの誕生日にね。そうしたら蛇と話が出来て……それから蛇のガラスケースが消えて逃げて言っちゃたんだけど………」

チラッとレグルスを見ると顎に手を当てて視線を下に落とし思考する姿があった。
もしかしておかしなことを言うハリーを軽蔑しているのだろうか。
ハリーとてつもない不安にかられた。今なら嘘だと言えると口を開きかけると同時にレグルスが話始めた。

「すごいな蛇と話せるなんて………俺試したことない。一度やってみる」

「………………おかしいとか思わないの?」

「なんでだよ。カッコいいじゃないか」

ハリーはそう言ってニコッと笑うレグルスに肩の力が抜けるのを感じた。
こういう人だった。いつだって信じてくれて励ましてくれるレグルスに憧れている。

「ん〜あ、それよりハリー」

「どうかしたの?」

「本屋ってどこ?俺本買いたいんだけど」

ハリーに近くの本屋へ行く道を歩きながら考える。
ハリーはパーセルマウスだったのか、と。
それでハリーへの態度が変わるわけでもないが、風当たり的には厳しいだろう。
隣で歩く親友の横顔を眺めて、今度新しいメガネでも贈ろうかなと考えるのであった。



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