『賢者の石』
□第6話 合同飛行訓練
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[飛行訓練は木曜日です。グリフィンドールとスリザリンとの合同授業です]
談話室のお知らせにハリーはがっくりと肩を落としていた。
いや、ハリーだけじゃない。
スリザリンという文字に、ほとんどのグリフィンドール生はがっくりとしていた。
そんな中お知らせには目もくれず、レグルスは1人寮を抜け出し歩いていた。
「レグルス!」
名前を呼ばれ振り向くと、爽やかに笑うセドリックがいた。
「あ、セドリック。どうした?」
「僕はクィディッチの朝練があったんだ」
いつもの制服とは違う、黄色のユニフォームを見ながら、なるほど、とレグルスは頷いた。
「お疲れ、大変だったな」
「うん。けど、好きなことだからね。楽しいよ」
「クィディッチか……試合なら何度か見たことあるよ」
「レグルスは飛行訓練もうあったのかい?」
「いや、木曜日にあるよ。箒に乗るのはいつぶりかな」
苦笑い気味のレグルスに、セドリックは少し不思議そうに尋ねた。
「君は結構乗ってるのかと思っていたよ」
「飛ぶのは好きなんだけどね。あまり好き勝手やるとブラック家の評判を落としかねないから」
「……君こそ大変だね」
レグルスは曖昧に微笑んでみせた。
着替えてくるね、と寮へ戻ったセドリックと別れて1人大広間へ向かった。
「おい、レグルス」
今日は声がよくかかると、苦笑しながら振り向くとブレーズ・ザビニが手をあげていた。
その隣にはセオドールもいる。
「よぉ、ブレーズ。セオドール。珍しいな2人が一緒なんて」
「今偶然会ったんだよ」
「……ああ、たまたま」
「へぇ、そうか。ドラコは?」
「……先に行ってたぞ」
「そうか。ま、俺らも行くか?」
肯定した2人と一緒に大広間へ。
その道中、グリフィンドールとスリザリンが一緒にいるのが珍しいのか、まじまじといろんな人から見られた。
「いいのか、ブレーズ、セオドール。グリフィンドール生と一緒にいても」
「別に?お前と仲良くすんのは将来的にいいしな?」
「……コクッ」
「ブラック家だから…か」
「それもあるな。けど、そこそこ面白いからな、レグルスは」
「どういう意味だよ」
「変わってる」
「セオドール。そうはっきり言わないでくれよ」
「おい、何か騒いでるぞ?」
大広間に入るとブレーズが眉をしかめ、グリフィンドールのある席を指差した。
見覚えのある姿に、レグルスはため息をついた。
「いってくる。またな、2人とも」
「いってこい。またな」
「また……飛行訓練で」
「おう」
2人へと手を振り、騒ぎの中心へと歩みを進めた。
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