『賢者の石』

□第3話 ホグワーツ特急
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9月1日――
早々に目を覚ましいつもの高級感あふれる黒い細身のスーツに袖を通した。

トランクは昨晩のうちに下に降ろしてある。
レグルスは止まり木(急遽作った)のオリオンを腕に乗せ下へと降りる。

オリオンはレグルスにはとても懐くがレギュラスには冷たいようだ。
オリオンをトランク近くの籠の中にに入れてレギュラスの腕を掴んだ。

コルの姿となったレギュラスとともに姿現しで着いたのはキングズ・クロス駅。

「ここからは1人で」

「うん、バレたら大変だしな」

心配そうなレギュラスをレグルスは大丈夫さと笑う。

「9と10のあの柵に向かって走るんだ。いい?」

「オーケー。ありがとう、おじさん。いってきます。手紙書くから」

「気を付けて」

レグルスは名残惜しさを振り払うように9と10の柵にカートを押して突っ込んでいった。

壁を抜けると紅の蒸気機関車が、乗客でいっぱいのプラットホームに止まっていた。

もう先頭の方は埋まっているらしい。
レグルスは最後尾あたりの車両に空きのコンパートメントの席を見つけた。
オリオンを入れ、次にトランクを…なかなか上がらない。
どうやら引っかかっているらしい。
剣技や挌闘をしているレグルスは力には自信があったのだが体格的に難しいらしかった。

「手伝おうか?」

背の高いハンサムな青年に話しかけられた。
困っていたところなので有難い、レグルスは協力を仰ぎ二人でトランクを持ち上げた。

「ありがとう。助かったよ」

「どういたしまして」

爽やかに笑うこの青年は黄色のネクタイをしている、ハッフルパフの先輩らしい。

「その…君は」

「ん?」

「もしかして、ブラック家の子かい?」

「ああ、うん、そうだよ。レグルス・ブラック、当主をしています」

恐る恐る言う先輩にお茶らけた様に言うと意外そうに目を丸くした。

「君は…新聞とは随分印象が違うね」

「そうかな?…それと君じゃなくて、レグルスですよ、先輩」

「うん、ごめんレグルス。僕も先輩じゃなくてセドリック・ディゴリーだよ。敬語じゃなくて大丈夫だよ」

ふわりとほほ笑む姿はとても絵になるなとセドリックを見る。
不思議そうに見てくるセドリックに何でもないと手を振り、ありがとうとお礼を言った。

「よろしくな、セドリック」

「よろしくね、レグルス」


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