『賢者の石』
□第0話 若き当主誕生
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グリモールド・プレイス 十二番地
そこに一人の青年と赤ん坊がいた。
「………」
青年は赤ん坊をあやしながら、日刊予言者新聞に目を通す。
『例のあの人が消えた!ハリーポッターに万歳!!』
新聞一面にでかでかと書かれている。そして、次の一面には
『ポッター夫妻を裏切り、友人を殺した犯罪者シリウス・ブラック』
青年はそんな記事を読み、ぎゅっと拳を握りしめた。
そんな時、扉から誰かがやって来る。
「こんばんわ、コル」
「こんばんわ、ダンブルドア先生。いつも通りレギュラスで構いません」
長い髪と髭を持った半月の眼鏡を光らせ、ダンブルドアは笑った。
「ほほ、そうかの?新聞は読んだかね?」
「はい。あの人は本当になくなったのでしょうか?」
「彼がそんな簡単にいなくなるとは思えんよ」
「そうですよね」
「いつここに来たのじゃ?」
「さっきです。リーマス・ルーピンの所からレグルスを引き取ってからここに来ました」
「彼の様子はどうだったかね?」
「ひどく取り乱していました。ブラック家に仕える執事だ、坊っちゃんを迎えに参りましたと言って連れてきました」
「聡明な判断じゃの、レギュラス。流石じゃ」
「ありがとうございます」
ダンブルドアは一つ一つ確かめていくように尋ねて、ふいに口を閉ざした。
「ダンブルドア先生?」
「そろそろ本題に入ろうかの…レグルスをどうするかについて…の」
二人はすやすやと眠るレグルスを静かに見つめた。
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