『賢者の石』

□第1話 届いた手紙
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「到着〜」

そんなかけ声とともにレグルスはブラック邸への暖炉へと綺麗に着地をして戻って来た。
戻ってくると同時に聞こえたのは低くねちっこい声。全身黒づくめの鉤爪のような鼻の男が暖炉の前に立っていた。。

「遅い」

「ごめんなさい、セブルス」

眉間のしわを深く刻ませセブルスが睨んでくる。
眉尻を下げ申し訳なく思いながら、暖炉から出てくるとレギュラスおじさんの楽しそうな笑顔でむかえてくれた。
絶対遊んでる………。

「その……セブルス。どんな用でこっちに来たの?」

「これをレグルスに持ってきたのだ」

「ん?なにこれ」




 ロンドン グリモールド・プレイス12番地

 レグルス・ブラック様




分厚い、重い、黄色みがかった羊皮紙の封筒に宛名はサファイア色のインクで書かれていた。

驚きながら封筒を裏返してみると、紋章入りの紫色の蝋でとじてあった。
真ん中に大きく“H”と書かれ、その周りをライオン、鷲、穴熊、ヘビが取り囲んでいる。
中から手紙を取り出して、読んだ。



 親愛なるブラック殿

 このたびホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。
教科書並びに必要な教科書のリストを同封いたします。
 新学期は9月1日に始まります。7月31日必着でふくろう便にてのお返事をお待ちしております。  敬具


   副校長ミネルバ・マクゴナガル








「ホグワーツ………」

「貴様は魔法使いだ。当たり前だろう。我輩やレギュラスの血が流れているのだ。……あの忌々しいブラックの血もだが」

「レギュラスおじさん、俺…おじさんやセブルス、父さん、母さんが行ってたホグワーツに行けるんだよね」

「うん、おめでとう。レグルス」

「…おめでとう」

「ありがとう!おじさん、セブルス」

満面の笑みを2人に浮かべ嬉しそうに手紙を見つめ続ける。
それからはっとしてドタドタと壁の肖像画へとレグルスは走っていった。
そんなレグルスを見届けてからレギュラスにセブルスは帰ると耳打ちをして姿現しをして去っていった。

―――ヴァルブルガ・ブラック

そう書かれた肖像画の前に立ちレグルスは届いた手紙を見せた。

「おばあさま、俺……僕ホグワーツ入学が決まりました」

「レグルス、あなたはブラック家の子なのです。あなたは生まれたときから入学は決まっていますよ」

レグルスがここで育てられて10年でヒステリックなヴァルブルガもだいぶ緩和された。
見た目はシリウスだが、中身はレギュラスやイリスに似た性格なので、ヴァルブルガはすっかり孫を溺愛するようになっていった。
純血主義者ではなく分け隔てなく接する孫の姿を複雑な気持ちで見ているのである。

「おめでとうございます、レグルス。私も大変嬉しいです」

「ありがとうございます!おばあさま」

「レグルスはどの寮に入りたいのですか?」

「どこでも構いません。僕を成長させてくれる寮であるのなら」

「私はスリザリンだと嬉しいです。ブラック家は代々スリザリンでしたからね」

「スリザリンですか……母さんと同じですね。けど、僕は父さんと同じグリフィンドールもいいなと思ってますよ」

少し苦い顔をするヴァルブルガにレグルスは困ったように笑って見せてレギュラスの元へと戻っていった。

「あれ?セブルスは?」

「スネイプ先輩はさっき帰っていったよ」

「一言いってくれればいいのに」

「まぁまぁ」

頬を膨らませるレグルスにレギュラスはポンポンと頭を撫でてくれる。
レグルスはこの撫で方が好きでとてもホッとできる。
入学したらこの手とはしばらくお別れかあと寂しく感じてしまう。

「明日はダイアゴン横丁へ行こうか?」

「ホント?行こう!行こう!」

「僕はノクターン横丁の用事を済ませる予定だけど……しばらく1人で買い物しなくちゃ行けないけど、構わないかい?」

「大丈夫だよ!」

「そっか。レグルスは顔を知られてるから気をつけるんだよ」

「分かった!」

そう言ってやった!と、飛び跳ねるレグルスを見ながら入学まではたくさん一緒にいよう。
レギュラスは甥の姿を兄と重ねながら、問題を起こすようなことがありませんようにと思った。





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