『賢者の石』

□第1話 届いた手紙
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「ありがとな、いい本買えたよ」

「レグルスって見かけによらず本好きだよね」

「見かけによらずって失礼だな〜」

本屋からフィッグおばさんの家までの帰り道2人は楽しげに話す。
ハリーはこうして話す帰り道が好きだった。 いつだって楽しげに話を聞いてくれる、ダーズリー家ではそんなことをしたことがない。

「レグルスはどこの学校へ行くの?」

「俺は……両親の行ってた学校だろうな」

「そうなんだ」

互いに黙ってしまう。
レグルスはしばらく視線をさまよわせ、ふっと息をはいて言葉を紡いだ。

「学校違ったとしても俺らは親友だろ?」

「うん」

「それに勘だけど、一緒にいられると思うよ」

「レグルスが言うとそう思えてくるよ」

「ハリー優しいなぁ」

2人で笑い合う、ダーズリー家への帰り道がレグルスと一緒なら楽しく感じる。
ずっと続いて欲しいと思えるこの時間が。

だけど、そんな時間ほど長くは続かないのである。
フィッグばあさんの所へ着くと、バーノンおじさんが立っていた。
ハリーは楽しい時間の終わりに大きくため息をついた。
レグルスが笑いながらこちらを見てくるがこればかりは仕方がない。

「また会えるからさ」

「うん」

「おい、小僧。どこに行ってた」

目が合うとおじさんが顔を真っ赤にしてこちらに向かってきた。
本当に空気の読まない。

すると、すっとハリーの前にレグルスに立って、軽い会釈をした。
………いつの間にかネクタイも綺麗に直して立ち姿もとてもカッコいい。

「すみません、ハリーのご家族の方でしょうか?」

「………そうだが、お前は?」

「レグルス・ブラックと申します。ハリーとは仲良くさせていただいてます。今日は僕がハリーを連れ出してしまって申し訳ございません」

凛とした声で礼儀のきちんとしたレグルスの姿におじさんは口をもごもごさせ小さく構わんと、言った。
レグルスが後ろを振り返ってウインクした。本当に気の利く人だなと思う。
おじさんを説得させてくれて(あまり今回は怒られないだろう)僕らは別れることになった。

「じゃあまたな、ハリー」

「うん、また会おうねレグルス」

ハリーが帰っていく姿を見ながら、あのおじさんは大変そうだなと苦笑いがこぼれる。
フィッグおばさんの家に入って感謝の言葉を述べてから、来た時同様に自分の家へと帰った。




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