オリジナル・単発もの

□愛しき爆弾 ※
2ページ/21ページ


 私には彼氏がいて、怜には彼女がいた。

 私は現在進行形なのに、彼は過去形。

 それでも壊せないことがある。

 越えてはいけないこともある。

 私の思いはそういうものだ。






 彼氏は最高の人。

 大好きだし大切だし愛しい。

 何者にもかえられない、大切な大切な人。

 彼を失うことは私の半身を失うことに等しい。

 それ以上かもしれない。






 それなのに、怜も私にとっては特別な人。

 どうしようもないくらい特別な人。

 どちらが一番かなんて決められない・・・というか、あるときは彼氏がただ一人の人になるし、あるときは彼氏と同じポジションにまで怜が上ってくるし、あるときは怜が彼氏でも太刀打ちできない存在になる。






 どうして私はこんな優柔不断な気持ちでいられるのだろう。

 彼氏に対しての罪悪感は常に消えない。

 比べているときすらあったりして、最低だと思う。

 それでも彼氏は絶対に失いたくないと思いながら、やっぱり別の方向を向いてしまう。






 憧れだからと割り切れればいいのに、この気持ちをそんな気持ちに落としたくない。

 これは忍ぶ、後ろめたい恋だと思いたい。

 そのくらい許されたいと思っている。






 同じ思いを彼氏が抱えていたら、裏切りだと罵り、怒り、許さないと暴れるだろう。

 それなのに、私自身は平気でその気持ちを抱えている。

 ばれなければ、わからなければ、大丈夫と。








 本当にそうなんだろうか?







 そもそもいつからこんな気持ちになってしまったのだろう?

 小さい頃は、嫌いではなかったけど、今ほど好きでもなかった。

 顔のいい従兄妹だとは思っていたけど、ただそれだけ。

 アイドルを見ているのと変わらない。






 それがいつの間にかキスしたい、抱きしめられたい、彼氏から奪ってほしいと、あほなくらい欲求が出てきて、それを満たしたくてしょうがない。

 男としてみてしまう。

 もう何年も前から・・・これは普通なんだろうか?

 異常なんだろうか?






 もともと一人をずっと思うタイプだから、ストーカーまがいのことも平気でできる。

 現に彼氏にはそういう行為をしていたし、いまだにそのことをキモイといわれる。

 だから一度気になってしまうとなかなかそこから抜け出せないたちではあると思う。

 怜の事もそういう意味では、なかなか抜け出せないのも致し方ないことと思うけど・・・






 彼氏はそれでもすごかった。

 ふたりくらい忘れられなかった片思いの人を、あっさりかき消してくれた。

 一生片思いかと思うくらいの、思い込みだったのに、彼氏の魅力はそれに簡単に勝った。






 それなら怜も同じように忘れ去れたらよかったのに、悪いことに、怜を男と感じてしまったのは彼氏と付き合いだしてからだった。

 似ているところがあるし、年上な分、彼氏より理想に近かった。

 そう、怜と彼氏は結構似ているところがある。

 顔がいいとか次男だとか、わりとお金に困らない家の出身だとか、兄ちゃんに対して競争意識が強く、同じことをやったり、共通の仲間が多いから常に一緒にいるとか。

 二人とも八方美人だし、廻りにばかり気を使い身近な人は後回しにするし、B型だし、趣味が多いし、趣味のためなら彼女は二の次、三の次だし・・・






 本当に似ていると思う。

 大人っぽく見せかけようとしているのに本性は子供っぽいとか。

 照れ屋で、へそ曲がりだとか、素直じゃない、理屈っぽい、えらそうなことを言うのに自分には超あまあまで、一番目立つポジションにいたい、とか上げだしたらきりがないかも。






 彼氏に似ているから怜に惹かれるのか、怜に似ていたから彼氏に惹かれたのか。

 私の理想のタイプに二人はぴったりはまりすぎるくらい、いろんなところが似ているってことなんだろう。

 たった一つ年齢だけが違うだけで。

 ていうか彼氏は年下でも気にならないのは本当は理想なんて関係ないのかな。

 それとも怜が基準?

 だから怜がぴったり理想?

 ただ従兄妹だから。

 擬似恋愛?

 ・・・二人が一人ならベストなのに。







次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ