長夢
□男装と外の世界
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ミルside
家から持ち出してきた、ジャケットとズボンをはき
帽子をかぶって歩いた。
我ながら完璧な、男装だと思う!
斜めかけ鞄も男の子っぽいし。
『えー…と…どうしようかな…』
「待ってよーっキルアー!」
「早くこいよーっ!」
少年二人組が、走っているのが見えた。
そして、銀髪の少年とぶつかった。
「わっ!悪い!;」
「走るからだよ、キルア;大丈夫?」
『だ…大丈夫だよ…!!』
帽子を深くかぶって、顔を見られないようにした。
だって、女ってバレそうだったから。
「あ!クラピカが待ってるよ!!」
「ああ、じゃまたな!」
二人組は、嵐のように去っていった。笑
『本屋さんにでも…行こうかな』
目の前の、古本屋に入ると
いろんな国の古書が、置かれていた。
『………¨生きた宝石¨…』
視界に入った古書の題名に
私がつけられたのと同じ題名があって
目を引き付けられた。
手を伸ばしたときだった。
同じ古書に伸びてきた手にあたった。
『あ…ごめんなさいっ』
「いや、俺の方こそすまない」
『あの…どうぞ、お先に』
「俺より先に取ったのは君だろう?」
『あ…ありがとう』
私は目をあわせられなかった。
だって、相手の男性は私より
背が高い男性だったんだもん。
スルッ
一瞬だった。
男性が私の帽子をとった。
目を丸くして思わず男性を見上げる。
男性は、漆黒の瞳で、好青年だった。
「お前から…血の香りがする」
『……………………っ!;』
手を振り払って、古書を投げつけ
思わず逃げ出した。
無我夢中で走った。
暗くなった街の道を。
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