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□偵察隊!
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「…松本、狩谷は何処へ行ったんだ。」
「えー?しりませんよぉー。」
『ププッ、探してるー♪』
隊舎の窓からひょっこり顔を出して隊長達を覗く少女は…
狩谷彩葉。
人間観察が好きな彼女は今日は自隊である十番隊を観察していた。
珍しくこの日は松本も仕事をしており、平和だと思うのも束の間、彩葉がいない所為で冬獅郎は何時ものように苛々を隠せない。
『隊長の眉間の皺深くなってるぜっ!やっべ!!ウケるー!』
笑いを我慢するにも堪えられず、ニヤケ顔になってしまう。
『よっしゃっ!!じゃあ次は六番隊!!れっつごぉー!!偵察隊!!』
スキップをしながら六番隊へ向かう。
偵察"隊"と聞くと複数を想像する。だが彩葉の場合、隊員は彩葉一人。
偵察よりも悪趣味が似合う。
『ついたぁ!!びゃっくぅぅんたぁいっちゅぉう♪』
偵察の筈が大声で叫ぶ彩葉。
偵察ではない。
近所迷惑である。
ドダダダと効果音のつく足音で窓へ突っ込む。
バリン
「テメッ!!何してんだよ!!隊舎ブッ壊れて…」
『私の心配して』
「自業自得だろぅがぁぁぁあ!!」
顔面から窓へ突っ込んだために血だらけだがそんなの気にせず阿散井は窓ガラスの破片を集める。
『びゃっくぅぅ…げほっおぼろっぐはっ、朽木隊長はぁぁ?』
「うわー…、新しい窓ガラス買わなきゃいけねぇじゃねーか…」
『無視?
まぁいいや。三番隊行こ。』
「あ、彩葉!!弁償しろよっ!」
『I don't know.』
「おぃぃぃぃい!!」
ザシュッ
『うぷっ…』
阿散井にガラスの破片を投げつけられ見事命中し、彩葉は吐血しながら逃げていった。
偵察ではない。
不死身の未確認物体である。
そしてよろけながら三番隊へ彩葉は辿り着いた。
『ヘルペス…ヘルペスムィーギンたいちょ…』
「射殺せ、神鎗」
『なんでっっ』
偵察ではない。
秒殺である。
そんな、皆にいじられる彩葉の毎日。
明日も偵察隊出動…?
後書き→
2013.9.1(移転作品)