Morning Glory(サンジ)
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「え?」
「お手をどうぞ、プリンセス。」
ニコッと笑いかけてサンジさんが手を出してくれていた。私は顔に熱が集まるのを感じて、俯きながら慌てて自分で立ち上がった。
「だ、大丈夫です。スミマセンでした。」
「怪我ぁ無かったかい?…ってああああっ!」
「え?え?」
バケツを取ろうと伸ばした腕を捕まえられた。
さっきゾロさんに掴み上げられた手首が赤くなっていたのを見つけられたらしい。
「あんのクソマリモ〜!リリスちゃん、大丈夫かい?痛くない?」
「だ、大丈夫です。あの、すみません、お掃除がまだ残ってますから…!」
優しく私の手を取りゾロさんに怒るサンジさんを見たら居た堪れなくて、私はバケツを拾い直すと走って逃げてしまった。
この船に乗ってひと月。キッチンの掃除をしたり片付けなんかを手伝っているうちに、気が付けばサンジさんと一緒にいる時間が多くなっていた。
私が船の中どこに居ても必ず見つけておやつに誘ってくれる。
ナミさんやロビンさんにも優しいけれど、私にも同じように優しくしてくれる。
最初はやたらハートを飛ばしたりクネクネしてたけど、そう言えば最近はそんな事もなくて…逆に時々真剣な顔を向けるからかえってドキドキしてしまう。
「お疲れ様リリス!
ね、ちょっと話さない?」
「ナミさん?」
ある夜、仕事を終えて女部屋に戻った私はナミさんに捕まえられた。
最初は船に慣れたかとか他愛もない話題だったけれど、そのうちロビンさんと目配せした後は話の方向が少しおかしくなった。
「ねえリリス、こう言っちゃ何だけどあんたもいい歳でしょ?
あの島に恋人とかいなかったの?」
「そ、そんな人いませんよ。いたら路頭に迷ってません。」
「ああ、そう言えばそうね…じゃあこの船の男はどう?いいなって思うのいる?」
「え…。」
急に言われて頭の中にキャプテンのルフィさんを始めとした男性クルーの顔が次々に浮かんで消えた。最後に浮かんだのは…サンジさんで…。
「ああっ!今赤くなったわよリリス!誰!?誰を思ったの!?」
「ナ、ナミさん違います…。」
「ふふ、素直に白状した方がいいわよ?こうなったら航海士さん、手強いんだから。」
「ロビンさんまで…あ、あの……。」
二人がかりで詰め寄られて心底困った私はとうとう口を割ってしまった。
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