それは甘い20題
□10.ひざまくら
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私が本を受け取ると、サンジは座る私の膝に頭を乗せてころんと寝転がった。そして太ももの感触を確かめるように撫でさすっている。
「はぁ〜っリリスのひざまくらぁ〜!」
「もう、くすぐったいよ。これで読むの?」
「ああ。リリスの好きなお話、読んで欲しいな。」
見下ろすと優しく笑う瞳にぶつかった。さらさらのサンジの髪をそっと梳いて、私はページをめくった。
「…むかしむかし、小さな村に…。」
請われるままいくつかお話を読んでいるうちに、気が付けば脚にかかる重さが規則的な呼吸をしている事に気付いて私は本を閉じた。
サンジは長い足をソファの手すりに乗せて目を閉じ、すっかり寝入っているようだった。
毛布でも掛けてあげなくちゃと思ったけれど、働き者のコックさんを起こすのは忍びなくて。
私はしばらくその寝顔を眺めていたが、寛いだ空気と優しく揺れる船に次第にまぶたが重くなっていって…。
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「あら、リリス帰って来ないと思ったら。見てよロビン。」
「ふふふ。二人とも幸せそうね。」
翌朝早くナミさんとロビンさんに発見されるまで、私たちはひざまくらをしたまま幸せな夢を見ていた。
→おまけ(ほぼ会話文)