それは甘い20題

□03.指先
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「そりゃ何だい?」


「ハンドクリーム。この前寄った島で買ったんだけど、いい香りでしょ?」




私はチューブの蓋を開けてサンジさんに見せた。ほのかに香る薔薇の香りにサンジさんがへぇっと目を開いた。




「そうだ、サンジさんにも塗ってあげる!もう洗い物は終わりました?」


「あ、ああ。さっきので終わりだけど…おれはいいよ。」


「いいからいいから。ハイ、ここに座って?」




立ち上がりかけた彼をちょっと強引に隣の椅子に座らせた。苦笑しながらも私が促すとサンジさんは右手を出した。
チューブから少しクリームを出して、差し出された手の甲にちょんと付ける。




「はいクルクル〜。」


「ちょ、リリスちゃんくすぐってぇ。」




クリームを塗り込みながらついでにマッサージも。左手で彼の手を取り、右手の親指で手の甲から指の先までクルクルと揉みほぐしていく。
一本ずつ、ゆっくりと。




「…へえ、上手いもんだな。」


「クリームを買った時にお店の人が教えてくれたんですよ。
でもサンジさん、毎日水触ってるのに綺麗な手…。」




右手に続いて左手も。私が感心して言うとサンジさんはくくっと笑って私の手を取った。




「じゃあ次はリリスちゃんにしてあげる。」




そう言ってこっちを見た目は艶っぽく光っていてドキリとした。
その目に見つめられながら私はクリームのチューブを手渡した。



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