Morning Glory(サンジ)
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ここは酷く暗くて寒い。
どうにかしなくちゃと辺りを見回すと唐突に花が咲く草原が遠くに見えた。
花が咲くくらいならきっと暖かいだろう。私はそちらに足を踏み出した。
『リリスちゃん…』
「…誰?」
突然聞こえた声は温かくて優しくて、でもちょっと泣きそうだった。
あなたは誰?…いえ、知っている。私はこの声を知っている。
『リリスちゃん聞こえるか?』
「誰?どこにいるの?」
キョロキョロと辺りを探すけれど誰もいない。すると、不意に右手が温かくなった。
そのまま温かさに引かれるように私は足を動かした。やがて暗いトンネルから出た時の様に辺りが光に包まれて、私は眩しさに目を閉じた。
閉じた目を開けると白い天井が見えた。窓からは朝日とも夕日とも取れるオレンジの光。
ふと視界の端で光った金に目を向けると、世界一優秀で誰よりも強くて、そして大好きなコックさんが突っ伏していた。
私の右手をぎゅっと握り締めて。
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