それは甘い20題

□14.指切り
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遠いところから女性の泣く声が聞こえた気がした。


ああ泣かないでレディ、と声をかけようとしたが身体が重くて動かない。
じっと身体を横たえた暗闇で次第に明瞭に鼓膜を揺らすその声は間違えようもなく聞き覚えがあり、おれは必死で声の方に手を伸ばそうとした。




「…サンジ。」




ハッキリと脳に響く涙声に急速に意識が浮上してくる矢先、フッと右手が温もりに包まれた。
重たい瞼を何とか押し上げておれは右側を向いた。




「…リリス。」


「…良かった…。」




涙をいっぱいに湛えた瞳がすっと細められ、留まり切らなかった雫がほろりとリリスの頬を伝う。


おれが目覚めたのはチョッパーの医務室だった。


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