それは甘い20題

□09.内緒話
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彼の耳に顔を寄せて囁く。
少し驚いたような顔をした彼と、それから顔を見合わせてくすくす笑って。
今度は彼がそっと囁いた。


とてもとても親密な空気に包まれた二人。だけれどそこに私はいない。


キッチンの扉に手をかけた私は、隙間から垣間見得たその光景に私の周りだけ時が止まったように身体が動かなくなった。


中にいたのはサンジとナミさん。
二人が仲間として仲がいいのは分かっているし、ナミさんが他意のない事も分かっている、つもりだった。


けれど今この瞬間私の心に生まれた感情は間違い無く嫉妬で、その事に気付いてショックを受けながら私は小さく息を付いてからそっと音を立てないようにキッチンの扉を閉めた。




「あら、リリスどうかした?」




不意に声をかけられて振り返るとロビンさんが微笑んでいた。私は目ざといロビンさんに気取られないように慎重に笑顔を作って言葉を探した。




「いいえ、何も。ちょっと忘れ物をしてしまったみたいなので女部屋に行ってきますね。」


「そう?もうすぐお茶の時間よ、一緒にいただきましょう。」


「はい、すぐ戻ります。」




おかしな所は無かっただろうか。
私はロビンさんに会釈すると、箒とバケツを持ち直して女部屋への階段を登って行った。




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