それは甘い20題

□05.不意打ち
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「うーたーげーだーっ!!」




珍しく大物の海王類を釣り上げたルフィの一言で今日の夕飯は宴になっちまった。幸いまだ食糧は余裕があったからおれは存分に包丁を振るった。


クルーが車座に座るデッキに次々運ぶ皿は持っていく勢いと同じくらいのスピードでカラになる。底なしの胃袋共をあらかた満たした頃には、さすがのおれも疲れを感じてふうと息を付いた。




「あれっ、そういやぁリリスは…?」




皿を引いたり運んだり、手伝いに来てくれていたリリスの姿が途中から見えなくなって、おれはタバコを咥えて開け放したキッチンのドアから覗いてみた。


いた。
はしゃぎ回るルフィやウソップの向こうにナミさんとマリモに挟まれて座っている。
おれは自分のグラスを持ってそっちに向かった。




「あらサンジくん、やっと来たわね。」


「はは、やっと一段落ですよナミさ〜ん。」




おれに気が付いたナミさんが手を振ってくれた。大きなジョッキを持って相変わらずの呑みっぷりだ。




「で、おれのプリンセスは?」


「あ〜…はいはい、ここ。」




ナミさんは目を泳がせた後で自分の隣を示した。少し場所を空けてくれたナミさんとリリスの間におれも腰を下ろす。




「あ、サンジ〜。」


「おっと…リリス、けっこう呑んだ?」


「ううん。少しだけ。ねー、ゾロさん。」




おれの顔を見てしなだれかかってきたリリス。その顔は薄暗いデッキでも分かるくらい真っ赤で、少しどころの話ではないことは一目瞭然だった。




「まだ呑みが足んねえぞリリス。ホラ呑め!」


「って何ついでんだよクソマリモ!明らかに呑みすぎだろーが!
おれのプリンセスをてめぇみてぇなウワバミと一緒にすんなっ!」


「あぁ!?うっせーな素敵眉毛!
おらナミ!おめぇもリリスについでやれ!」


「えぇっ!?あ、私ロビンに話があったんだわ〜…。」




マリモに話を振られたナミさんはぎくっとしたようにおれを見た後で視線を逸らした。
なるほど、二人してリリスに呑ませていた訳だ。
おれはため息をついてリリスのジョッキを奪い取ると一気にあおった。



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