それは甘い20題
□02.3センチ
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「あと5センチ…ううん、3センチ身長が欲しいかな。」
夜のキッチンでホットミルクを飲みながらリリスちゃんが呟いた。
ダイニングで寛ぐナミさんとロビンちゃんに、今一番欲しいものを聞かれての答えだった。
「なによそれ。まああんた一番ちっこいけど、なんで身長?」
「えーと、洗濯物を干す時にですね、ロープを吊る位置がちょっと高くって。」
苦笑しながら言うリリスちゃんにナミさんが目を丸くした後で豪快に笑い出した。
「やだリリスったら!そんなのウソップかフランキーに言ったらいいじゃない!
すぐに釘打ってくれるわよ?」
「あ、そうか。」
「もしかしてそれで…ここんとこホットミルク?」
今気がついたと言うようにポンと手を打つリリスちゃんにおれは話しかけた。
リリスちゃんはカップの温かさを両手で確かめながら頷いた。
「ええ、ちょっとでも伸びないかなって…悪あがきです。」
「残念だけれど、それはもう無理じゃないかしら?」
「ふふ、ですよね。」
ロビンちゃんに言われてリリスちゃんも笑いながらミルクを飲み干した。
身長とはまた面白いものを欲しがるもんだと思いながらおれはレディたちの会話を聞いていた。
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