それは甘い20題

□01.鼓動
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01.鼓動




「リリスちゃん!」




おれは食糧庫のドアを勢いよく開けた。
薄暗い室内。荷物の奥からそっと顔を出したのは愛しい彼女。おれを確認すると飛び出して来た。




「サンジさん!怪我してないですか?」


「おれは大丈夫。リリスちゃんは?」


「大丈夫です。良かった。」




そう言ってにっこり微笑むリリスちゃんはクソ可愛い。おれを見上げるリリスちゃんを抱き締めると、その身体は小さく震えていた。




「怖かった?ごめんな。」


「大丈夫です。私も海賊なんだから、いい加減慣れなくちゃ。」




海軍と一戦やらかして来たおれは軽く興奮状態で、強がって微笑むリリスちゃんの唇に吸い寄せられるように口付けた。




「…っん…リリスちゃん…。」


「サンジ…さん…。」




ひとしきり彼女の甘い唇を堪能したおれはリリスちゃんの髪に顔を埋めてすんすんした。彼女の香りにささくれ立った神経が宥められていく。




「こうしてると落ち着く。」


「ふふ、私も。」




いつしかリリスちゃんの震えも治まっていた。
お互いの体温を感じて目を閉じていると、とくんとくんと二人の鼓動がシンクロして行った。




「…ンジーっ!あれっ?おーい、サンジーっ!」




二人の息づかいと鼓動しか聞こえなかった空間にルフィの声が割り込んできた。どうやらみんな片付いたようだ。


ため息をついてそっとリリスちゃんの身体を離すとリリスちゃんは微笑んでいた。




「行きましょう。サンジさんのお茶が飲みたいな。」


「喜んで、プリンセス。ついでにルフィにも淹れてやるか。」




おれが言うとリリスちゃんが微笑む。
二人手を繋いだまま、皆の待つダイニングへと歩いて行った。



→あとがき
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