それは甘い20題

□19.甘噛み
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「…へえ、酔うとこんなになるんだ、リリス。」




指の生クリームを舐めとった私に愉快そうにサンジが言った。恥ずかしかったけれど本当に美味しかったから、今度は私がサンジに生クリームを掬った指を差し出した。




「美味しいよ、はい、どうぞ。」


「では、遠慮なく。」




ニヤリと笑ってサンジが私の指を口に含んだ。温かくぬめらかな舌が生クリームを舐めとるのが分かり、ぞくりと背筋が震えた。
サンジは視線を合わせたまま、ゆっくりと私の指から手のひら、腕へと唇を滑らせた。




「や、くすぐったい…。」




離れようとしてもがっちりと捕まえられていて叶わない。やがて唇は首筋を通って耳まで到達した。




「…ね、サンジ…ケーキ、食べたいな。」


「うん。その前におれはリリスが食べたい。」




いつの間にかぎゅっと抱きしめられて耳元で囁かれた。酔いのせいではなく体温が上がる。
サンジはくつくつと喉で笑いながら戸惑う私の耳たぶを甘噛みした。デッキで騒いでいるルフィさんたちの声が遠くなった。


サンジのくれる快楽に、もういいやと理性が屈服しようとした。その時。




「サンジー!デザートくれよぉー!
おっ!?それか?うっまそー!!」


「ああっ!こらルフィ!待てっ!」




バンッと勢いよくキッチンのドアが開いてルフィさんが駆け込んできた。テーブルに仕上がっているケーキを見て目を輝かせ、今にも手を出しそうになっている。


さすがにサンジも私から離れてルフィさんを追い払いながらケーキを切り分ける事にしたようだった。
ホッとひとつ息をついて襟元を直しているとナミさんがやってきた。




「お邪魔だったかしら?でもルフィがあの通りうるさくて。
ごめんねサンジくーん!」




いいんだよナミすゎーん!と叫びながらサンジがケーキを運んで行った。思い出したように私のお腹もぐうっと鳴った。そうだ、ケーキ食べなくちゃ!




「行きましょうナミさん、あのクリーム美味しいですよ!」


「ほんと!?急がなきゃ、ルフィに全部食べられちゃうわ!」




私はナミさんと二人、ケーキを追ってデッキに出た。


次はどんなに私を酔わせてやろうと、サンジが企んでいたなんて夢にも思わずに。




→あとがき
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