それは甘い20題

□07.はちみつ
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展望室から暗い海を見渡す。
見える範囲に敵船の影も異常もなく、リリスはホッと息をついた。




「リリス?」




ドアが開く音がしてサンジが顔を出した。にっこり笑うとトレイ片手にリリスのそばに歩いてきた。




「見張りお疲れさま。お茶をどうぞ、プリンセス。」


「ありがとう。」




温かな紅茶が入ったカップを持ってリリスが笑うとサンジも自分に紅茶を淹れてリリスの隣に座った。




「あ、はちみつ入り?」


「ああ。ルフィの奴が騒ぐから思い出した。この間上等なやつ仕入れてたんだ。」




口に含んだ紅茶はほんのり甘く香って、リリスが尋ねるとニッと笑ってサンジが答えた。




「今日はびっくりしましたね。ルフィさんたら。」


「まったくだ。あいつは食う事しか頭にねえのかよ。」




苦笑してそう言うとサンジはそっとリリスの肩を抱き寄せ、彼女の耳元にそっと囁いた。




「リリスはこんなに甘いのにな。」


「…んっ。」




サンジの低い声と吐息が耳にかかってリリスはビクリと肩を震わせた。俯くリリスの顔を捉えてサンジは彼女の頬にキスを落とす。




「おれ以外のヤローが触ったから消毒。」


「くすぐった…ん…。」




頬を滑るサンジの唇はそのままリリスの唇に辿り着いた。ついばむキスを繰り返した後、口付けは深くなった。




「やっぱりリリスは甘いな。」




瞳を潤ませて自分を見上げるリリスを見てサンジはくくっと笑った。リリスがまだ持ったままだったカップを取り上げて退かして、改めて自分の懐深く抱き締める。




「…サンジも甘いよ…大好き…。」


「おれも。」




サンジはきゅっと自分にしがみつくリリスの髪を愛おしそうに撫でる。波がはちみつの香りに包まれた二人を静かに揺らしていた。




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