初恋
□06.小休止
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時折ドリンクを飲みながら、2人は静かに読書にふけっていた。
そのうちユウは、全くドリンクにも手をつけなくなっていた。
フェイタンは特に気にせず、読書に夢中になっているのだろうと思っていた。
それから少したった頃
ふわりとした感触がフェイタンの首周りを襲った。
一瞬びくんとしたフェイタンは慌ててユウの方を向く。
その瞬間ユウがフェイタンの方に頭を乗せるように、もたれかかってきた。
「ユウ!?」
顔を真っ赤にして大声を出してしまう。
だが、返事は無い。
ゆっくりとユウの顔を覗き見ると……
すー…すー…
規則的な音を立てながら、ユウは眠っていた。
一瞬何かを期待した自分を恥ずかしく思いながらも、これはこれで悪くないと思い直したフェイタン。
クッションの居心地が良すぎたのか、おかげでいつもは見ることの無いユウの寝顔が真横にある。
こんなに間近で見たこと無かたね……
もはや、自分の読書そっちのけでフェイタンはユウから目が離せなくなる。
伏せた睫毛がとても長いこと
眠った顔は子供のようなこと
柑橘系の甘すぎない香水がほのかに香ること
眠ると少し眉が下がること
フェイタンはまだ知らないユウを知れた気がして、少しの罪悪感を感じながらも焦がれるように見つめていた。