初恋

□02.自覚
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その次に気づいたのは、シャルナークだった。


「フィンクスはいつ気づいた?」
シャルナークが面白いことを見つけたような顔で、フィンクスに声をかけた。

「あ?
たぶん1ヶ月前くらいじゃねぇの」
ていうか、コイツ俺が知ってることにも気づいてんのか。怖ぇーヤツ。

感の鋭いコイツに引っかきまわされたら、どうなるか分かったもんじゃない。
「……邪魔はすんなよ」
釘を刺しておく。

心外という顔をしてシャルナークはフィンクスを見るが、すぐに視線をフェイタンの方に向ける。



「でもさぁ…
見てて…もどかしいよね…」

「………まぁな」
そいつは同感だった。


シャルナークは腕組みをして考え込む。
「……ちょっと荒療治が必要かな」
ポツリと漏らす。






ある大きな仕事が終わった日の夜、旅団員は盛大に飲んでいた。
「やっぱ、仕事の後の酒は最高だぜ!!!」
ノブナガとウボォーは大騒ぎで飲んでいる。

フェイタンはユウの隣に行こうと瓦礫から腰をあげた。
その時だった。

「ユウ!!」
シャルナークが大きな声でユウを呼んだ。
ユウは呼ばれたのでシャルナークの方へ向かっていった。

行き場を無くして、フェイタンはもとの場所に座り込んだ。
これだけ騒がしい中でも、ユウとシャルナークの会話が嫌でも耳に入る。

「ねぇ、このお酒新作らしいんだけど、すごく美味しいよ。
ユウきっと好きだと思うな」

「そうなの!?
じゃ一口いただきま〜す♪」


いっそ聞こえなければいいのに、聞きたくないのに、耳はユウの声を拾ってしまう。



その光景を見てたフィンクスは冷や汗をかきながら、
シャルの野郎何考えてやがんだ……

ひっそりと成り行きを見守っていた。




その後も、シャルとユウの話は盛り上がり、フェイタンはほとんど誰とも話さなかった。

そして夜も明けかかった頃お開きとなった。


ユウは飲みすぎてフラフラで、半分寝ながら部屋に戻っていった。
メンバーのほとんどが部屋に戻るか、瓦礫の上で爆睡していた。




後に残ったのはフィンクスと…
まだその場に残っていたシャルナークとフェイタンの目があった。

フェイタンは無意識に眉間に深いシワを寄せ、目線をそらした。


シャルナークはわざとらしく
「なんで、そんなに睨みつけてんの?」
などとフェイタンに言い放つ。

「……別に、元からこの顔ね」


……全く自分の気持ちに素直じゃないなぁ
「ふ〜ん、まいいや。」




自分をジッと見るシャルナークに居心地悪くフェイタンの方から言葉を投げた。
「なんね……
まだ、何か言いたいことあるか??」


シャルナークは明るい笑顔で言った。


「俺さぁ、ユウのこと好きなんだよね」
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