初恋

□01.意識
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窓からの光は薄暗くなり、だんだんとページに影がさす。
時間はあっという間に過ぎていた。


「あー、もうこんな時間かあ!!」
その言葉をきっかけに、現実の世界に引き戻される。
ユウはソファから降りて固まっていた身体を、伸ばした。



「そろそろ腹もへてきたね」
その言葉に、ユウは思い出した。


「やばっ!!
今日私が夕飯の準備する番だった!!」

ユウは大慌てで本を片づけ、
「またね!!」と部屋を後にした。






一人になったフェイタンは、読み終わった本を本棚に戻し、ベッドに横になった。

そして、さっきまでユウが占拠していたソファに目線を移す。


ユウも大概、活字中毒ね。
クロロ以上かもしれない。

ユウは興味の幅が広くジャンルを問わずに、フェイタンの本を片っ端から読んでいっていた。 




いつもは、五月蝿いくらいによくしゃべるのに読書しているときだけは静かね…

仕事とは違った真剣な眼差しで、字を追うユウの横顔を思い出す。




時折長い髪がハラリと落ち、邪魔をする。
それをかきあげる仕草がフェイタンは好きだった。

お世辞など言わないフェイタンでも
“綺麗ね…”
そう思っていた。
もちろん口には出さないが。


読書をしているときのユウは、1人を好むフェイタンでも、一緒にいて邪魔にはならなかった。


粗暴な者が多い旅団のメンバーの中で、静かな時間を共有出来るユウ。

『一緒にいても居心地は悪くない』

それがフェイタンのユウに対する認識だった。






このときは、まだ。
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