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□キミとセカイ
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「ユウ、フェイタンの修行はどう?」
何日か経ってアジトでフェイタンを待ってると、マチが尋ねてきた。
「めきめき上達してる。
あたしなんかより、全然強くなるよ」
体力はまだ追いついてないが、フェイタンは基礎的なことはマスターしていた。

「そっか。ユウは?」
「何が?」
「なんか最近表情が浮かないからさ。
疲れてんのかと思ってね」
マチの勘は鋭い。

「そんなことない、大丈夫だよ」
自然に見えるように笑った。



「フェイタン、どうしたの!?」
突然アジトに響いたパクノダの声に、ユウも思わずそちらを向く。

「チビフェイ!!」
ユウが駆け寄ると、顔は痣だらけで、腕や足も所々出血が見られた。
泣いていたのか、目は真っ赤に充血してしまっていた。

「また泣いたの?」
ユウがフェイタンの頭をぐちゃぐちゃ撫でる。
「…泣いてないね」
すぐにバレる嘘なのは、自分でも分かっていた。

ユウはフェイタンに目線の高さを合わせて、真剣な顔をした。
「何があった?」
「…拾てきた食べ物、殴られて盗られたね」
悔しさを滲ませて、フェイタンは小声で伝えた。

「……誰にやられた?」
「髭の生えた…背の高い男だたね」
「!!分かった」
そう言うやいなや、ユウはアジトから飛び出していった。

唖然として、ユウが出て行った方を見つめるフェイタン。
「あーあ、ああなったらユウは止められないね」
仕方ないと言った顔で、マチは溜め息をつく。
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