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□名前を呼んで
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名前を呼ばれたものの、フェイタンは黙って眉間にシワを寄せている。
ユウを睨みつけるように、見つめながら。
「…どしたのフェイタン?
そんなに睨んだら眉間のシワが形状記憶されちゃうよ」
覗き込んでくるユウ。
その表情は可愛い、返事したい。
けど。
「なんでワタシだけ違うか?」
今日はこれを聞くまで返事しないね。
「何が?」
脈絡のない言葉に、きょとんとした顔のユウ。
「…名前の呼び方ね」
「フェイタン?」
またくユウは鈍いね…
こんな事に必死になってしまうのは、情けないけれど、自分にとっては最重要事項。
「…フェイて呼ばないね」
照れくさそうにマスクで顔を隠しながら、小声で愚痴る。