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□君のペット
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フェイタンは近くにあった水たまりを、恐る恐る覗き込む。

そこに写っていたのは、毛むくじゃらの体。目つきが悪く光る眼球。手には肉球。

お世辞にも可愛いとは言い難い黒猫。

「にゃっ………」
(ワタシ…猫になてるね)

先程の男の念能力に違いないだろう。
逃げるための最後の切り札と言ったところか。

フェイタンは少し考えてた。
あの男が逃げたということは、おそらく一定の時間で元に戻れるだろう。
でなければ、すぐに自分を殺そうとしただろう。

問題はいつ戻れるかだ。



フェイタンは、考えてもらちがあかないとアジトへの道をトボトボと歩いていった。







「フェイタン遅いねー…」
ユウは時計を見て呟く。

「あいつ何かヘマでもしたんじゃねーのか!?」
フィンクスは夕食を食べながら、ユウを見向きもせずに答える。



(フィンクスのやつ…)
窓の外からこっそり覗き見ていたフェイタンは、言いたい放題のフィンクスにイラだった。
だが、事実ヘマをしているので言い返す言葉もない。
というより、しゃべれない。



そうしていると、いきなりフェイタンの視界が上昇した。
驚いて、見上げるとそこにいたのは。

「あ、猫だー」
シズクがフェイタンの首根っこを掴んで、持ち上げたのだ。



殺される!!!!

フェイタンの野生(?)の本能がそう告げた。
何をしでかすか分からないシズクに身の危険を感じて、バタバタと暴れる。

「うわ、この猫凶暴だなー」
相変わらずフェイタンを掴んだままのシズク。

「何騒いでんの?」
その様子に気付いたシャルナークが声をかける。



しまった………


フェイタンはそう思ったが、時すでに遅し。

これで正体バレたら一週間は馬鹿にされるね!!

とにかく猫として振る舞うことにしたフェイタン。
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