水色ガールフレンド

□01.恋は始まった?
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「みんな大丈夫だった?」
アジトに戻ってきて、傷を負った団員の治療をする。
一芸の私はみんなのようには闘えないから、その分気持ちを込めて治療にあたる。

日を重ねるごとに、みんなと打ち解けて居心地が良くなってきた。




「フェイタン、いつも最後でごめんね」
フェイタンは私の前に置かれた椅子に腰掛ける。
「別に気にしてないね」
こちらを見るわけでもなく、私に怪我をした左手を差し出した。

フェイタンは団員達のことを気遣ってか、いつも治療は最後でいいと言う。
口数は少ないけれど、もしかして本当は優しい人なのかもしれない…。


もう先に治療を終えたみんなは、それぞれの部屋に戻ってしまって私とフェイタンの2人きり。
全く会話は無い。
治療しているから、なんとか間は持っているけれど、相変わらず私とフェイタンの距離は縮まらないまま。

手の治療にオーラを集中させながらも、フェイタンの表情をちらりと伺う。
目線は手の傷口に向けられ、変わらずの無表情。

…なんとか、苦手意識を無くさなきゃ。
同じ旅団のメンバーとして、彼とも仲良くなりたいと思っていた。


「終わったよ」
「…助かたね」
そう一言だけ私に告げて、フェイタンは自分の部屋へ戻ろうとドアノブへと手を伸ばした。


今にして思えば、このときの私はなんとか打ち解けたくて焦っていたのだと思う。

「あ、待って!」
…しまった。
と思ったときには、目の前にはフェイタンのいぶかしげな顔。

「…なにか?」
フェイタンは眉間にシワを寄せて、私の返事を待っている。

ヤバい。何か答えなきゃ!
なんで、何も考えずに引き止めたのか自分が恨めしい。

「あのっ…疲れてない?
飲み物でも入れようかな〜…なんて」
頭をフル回転させて出てきた言葉。
私の声が空しく部屋に響く。

「……」
フェイタンは無言でこちらを睨みつけている。
断られる、そう思っていた。

「…コーヒーでもいれてもらうね」
フェイタンが改めてドアを開けて、アジトの広場へ行こうとした。

え?
断られなかっ…た?
意外すぎて私はバカみたいに目を丸くしていた。

「何してるか?ささと行くね」
無表情のフェイタンが私を急かす。
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